しょーとしょーと
という名のメモ



「雨……」

突然降り出した雨。
轟々と音を立てて、遠くでは雷の鳴る音がする。
どこか不安な気持ちになるのは、あんまり雨が好きじゃないからだろうか。
部屋でかけていたピアノのCDはどこか冷たく寂しげで、さっきまではあんなに暖かかったのにと掛けていたブランケットをまた口元まで引き上げた。

屋敷のどこかでぱたぱたとあわてる足音がする。
きっとさっきまで晴れていたから干していた洗濯物が雨で濡れてしまったのだろう。
洗濯し直しかな、洗濯が終わったら干すのを手伝おうと決めて、ごろりと横になる。

暫くすると居間の方で賑やかな声。
むくっと起きてブランケットを羽織るように肩にかける。
お気に入りのもこもこスリッパをぺたりと鳴らして、自分の部屋の扉をあける。
階段を下りれば、俺の大好きな人達がいた。


「ねぇ、俺も混ぜて」

声をかけるとこちらをみた彼らが笑顔を浮かべる。
次々に「いいよー!」「まったく、寝すぎじゃないの?」「お腹すかない?」など声をかけてくる。
俺の席に座るとこの屋敷の中で最年少がすすすと隣に寄ってきたのでわしゃわしゃと頭を撫でてやった。

幸せな時間。
いつまでも続く時間を大切にして生きてゆく。


ぼくの一生の幸福
――と呼ばれる声に微笑みを浮かべて。
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