煙草


ベットに座って口から吐き出した紫煙がユラユラとのぼって行くのをただボーっと眺めていると、隣から視線を感じて振り向けば、夏野もまた自分と同じように俺の口から吐き出される紫煙をじっと見つめていた。

「悪い、煙たかったか?」

他で吸おうと立ちあがろうとすると、腕を掴んで止められた。

「別に煙たくなんかないからいいよ。それにここは徹ちゃんの部屋なんだし気にする事無いよ。」

「そうか?ならいいけど。なんか煙草の煙が気になるみたいだったから。」

「え?」

何がと言いたげに首を傾げる夏野に、可愛いななんて思いながら「だって、煙草の煙じっと見てただろ?」と言うと「ああ。」と納得したように頷いた。

「俺が気にしてたのは、煙じゃなくて煙草の方だよ。」

「煙草?」

「うん。美味しいのかなって。」

今度は俺が夏野の答えに納得する。そうか、夏野ぐらいの歳の男の子は酒とか煙草とか大人の嗜好品に興味のわく年頃だもんな。
自分もそうだったからよく分かるけど、でもやはり未成年の喫煙はよくない。

「興味あるのは分かるが、煙草は二十歳になってからだぞ。」

そう言ってクシャクシャと夏野の頭を撫でると、思いっきりその手を払われた。

「子供扱いするなよな。それに別に煙草なんか吸いたいと思わないし。」

「ん?でも今煙草に興味があるって。」

「だから、俺が興味があるのは徹ちゃんが吸ってる煙草の味。」

「俺の??」

それでもやっぱり意味がわからず首を傾げていると、夏野が俺と向き合う様にして俺の膝の上にストンと座った。

「美味しいの?」

「へっ?」

「煙草。美味しいの?」

「あ、いや、別に美味しくは無いけど…止められない感じかな。」

「ふーん。美味しく無いけど止められないんだ。」

膝の上の夏野にドキドキしながら、うんと頷くと夏野が何かを閃いた様に、悪戯っぽく笑った。あ、なんかヤバイ気がする。
夏野の顔がゆっくりと近づいてきたかと思うと、口に柔らかい物が押し付けられた。それが夏野の唇だと言う事に気付いた頃には唇の隙間を割って、ヌルリとした舌が口の中を味わう様に舐めつくしていく。チュッと軽く音をたてて離れて行った唇は濡れて光り何ともエロい。

「本当だ、苦くてまずい。」

ポカンと間抜け面を晒している俺に、夏野はクスリと笑うと両腕を俺の首へと絡めてきた。

「どうせならまずい煙草より、美味しいキスの方がよくない?」

可愛く誘惑してくる幼い恋人の言葉に、ゾクリと何かが背筋をかけ上がる。
あー、ヤバイ。なんか色々元気になってきた。色々って言うか主に一ヵ所。

「そんな事言って、どうなっても知らないぞ。」

「好きにすれば?ニコチンよりは体にいいよ?」

何処までも挑戦的な笑みをたたえるその口を噛みつくようなキスで塞いだ。



――ニコ中よりもたちが悪い。





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初の二十歳徹ちゃん設定!!!
そして夏野さんが何故か超エロい!!

大人な徹ちゃんを書きたかったのだけど、いつの間にか子供な夏野に振り回される大人な徹ちゃんになってしまいました。
あれ?
まあそれも美味しいから良しとして、これ全年齢対象で大丈夫?
その辺のさじ加減がわからない……(汗)
とりあえずギリギリかな??





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