教えてあげますネクタイの締め方 数日後に高校の入学式を控えたある日の事。 「夏野〜。高校の制服ってそろそろ届く頃じゃないか?」 「ん?制服ならもうとっくに届いてるけど。」 「えええええ!俺聞いてないぞ!」 奇声を上げながらゲームのコントローラーを投げ捨てて、ベットの上に座っていた夏野の元へ駆け寄ってきた徹に、夏野は眉間に皺を寄せる。 「言って無いから。てか、何で徹ちゃんに報告する必要があるんだよ。」 「だって、一番はじめに夏野の夏野の制服姿見たいだろ〜!」 必死に訴えながら腕にしがみ付いてくる手を払いのけ、読んでいた雑誌を閉じた。 「ああ、もう、うざい!」 「それで、もう試着はちゃったのか?」 「当たり前だろ。簡単にチェックして試着した後、何の問題も無かったからすぐに脱いだけど。」 「何でその時に呼んでくれなかったんだよ〜。」 駄々をこねながら今度は足に縋りついてきたので、振り払って鳩尾に蹴りを入れる。 「うげっ。なづの〜酷いぞ〜。」 「しつこい徹ちゃんが悪いんだろ。」 「だって〜。」 蹴られた腹を抱えて畳に転がったまま、メソメソといじけ始めた徹を見てため息が漏れる。 高校の制服姿などこれから嫌でも見る事になるだろうにいったい何だと言うのだ。 自分には到底理解できない。 「俺の制服姿なんて、入学したら嫌でも見る事になるだろ。」 「それはそうだが……………。」 まだグダグダしながら畳に転がっていた徹が、むくりと起き上がり、四つん這いになってのろのろと近づいてきた。 「じゃあ制服姿は夏野が入学するまで我慢する。ところで夏野よ、話はかわるがネクタイの締め方は知っているのか?」 「え?………締めたことないから知らないけど…そのうち父さんにでも聞くよ。」 「じゃあ俺が教えてやるよ。制服姿見るの我慢するんだからそれぐらいいいだろ?な?」 「うっ……。」 ただネクタイの締め方を教わるだけなのだから別に躊躇う事など無いのに、何故かすんなりとうんと言えなかった。 何故って、俺のカンが嫌な予感がすると告げていたから。 何と言うか、徹の笑顔が怪しい気がする。あくまで気がするだけなのだけど……。 でもここでうんと言わなければ、徹はこの後もずっと制服姿が見たいと駄々をこね続けるのは目に見えている。それもうざいので勘弁願いたい。二つも年上のくせに変な所子供なのだから困ったものだ。 嫌な予感はするものの、断った後の面倒を考えれば教えてもらった方がまだましな気がして、ただネクタイの締め方を教えて貰うだけなのだからと自分に言い聞かせて「じゃあ教えて」と徹に告げた。 何がそんなに嬉しいのか、徹は笑顔を一段と輝かせて「任せろ!」と言いながらネクタイを二本取り出した。一本を夏野に渡すと、もう一本を自分の肩にかける。 「じゃあ一度俺が結んで見せるな。」 そう言って徹は自分のネクタイを結び始めた。 さすがになれたもので、徹の長い指が器用に動いてあっという間に綺麗な結び目を作った。 「ほい、これで完成。結構簡単だろ?じゃあ次はゆっくり結ぶから一緒にやってみよう。」 夏野がコクリと頷くと、徹は結んだばかりのネクタイを解いて夏野の前に向かい合わせになる様に立ち、ネクタイを持って構えた。 夏野も徹と同じように首にかけたネクタイを持つ。 「まずネクタイのこのあたりで交差させるだろ。」 「えっと、この辺?」 「そうそう、そのあたり。んでこうやってこっちから巻きつけて。」 「え?どっち。こう?」 「いや、そうじゃなくて。こっち……いや、こっちか?あれ?」 夏野の問いかけに自分のネクタイを手放して、夏野のネクタイを持って説明し始めたのだが、どうやら自分で締めるのと、人に教えるのとでは勝手が違うらしく徹が混乱し始めた。 「あー、向かい側から見てたんじゃわからん。」 そう言うと徹は自分のネクタイを放り出し、鏡を取り出すと棚の上に置き、夏野の背後へ回って抱きしめる様な格好で夏野の首元のネクタイへと手を伸ばした。 「えっ、ちょ、ちょっと徹ちゃん。」 夏野が慌てて振り返ろうとするとすぐ隣に徹の顔があって、また慌てて前を向いた。 「同じ方向から見てないと良く分からなくてな。これなら大丈夫。ほら、鏡見てろよ。ネクタイ締めるぞ。」 「えっ、あ、うん。」 ネクタイを持つ夏野の手に徹の手が添えられてゆっくりとネクタイを締めていく。 「ここをこうして、こうするだろ。」 徹が一生懸命、分かりやすいようにと説明してくれるが、夏野はそれどころではなかった。 背中に当たる徹の胸が、手に添えられた徹の手がとても熱くて、すぐ横で囁かれる徹の声が耳をくすぐり夏野の体を熱くする。 ドキドキして今にも心臓が飛び出しそうで、正直ネクタイどころではなかった。 胸のドキドキを止めたくて、早くこの腕の中から抜け出したいのに、でも心のどこかでずっとこのままここにいて、もっとギュッと抱きしめてほしいと思ってしまう。 「それで、最後にここに通してキュッと締めればおしまいっと。ほれ、これで出来上がり。」 説明する徹の息がフッと耳を掠めて、震えそうになる体をどうにか堪える。 「あと、ネクタイを解く時はここを引っ張れば…」 このまま徹の腕の中にいてはヤバイと思ったその時だった。ネクタイを解こうとした徹の指が夏野の首筋に触れて思わず甘い声が漏れた。 「あっ。」 「なつ…の?」 カッと一瞬で顔に血が上るのがわかった。それと同時に背後の徹からキョトンとした声が上がる。 恥ずかしくて、とにかくこの腕の中から逃げ出さなければと腕を振りほどこうとしたが、それは後ろから力強く抱きしめられる事で難なく阻止された。 「ちょっと、何すんだよ!離せって!」 「今の可愛い声。夏野、もしかして感じちゃった?」 「ちっ、ちがっ!」 図星を指された事で思わず声がうわずる。 「本当に?」 耳元で囁かれた口がゆっくり下りて夏野の首筋を甘噛みする。その刺激にまたも甘い声が漏れ、体が大きく跳ねた。そんな夏野の様子に気を良くしたのか、微かに笑う気配がする。 「ほら、やっぱり違わない。夏野かわいい。」 「かわいくなんかなっ……」 甘噛みされた所をペロリと舐められた後、首のラインを確かめるように舐め上げられる。抱きしめていた手もいつの間にか体を這い、夏野の弱いところばかりをせめられる。 「んぁ、やめ…。」 どうにか不届きな手を止めようと手を掛けて剥がそうとするが、震えだした手に力が入らず、何の役にも立たない。 体を捩って逃れようとしても、返って徹の体に擦り寄る様なかたちになり、徹を一層煽るだけとなった。 「やだ、とおるちゃん。も、…離し、て。」 途切れ途切れにどうにか声に出して止める様に訴えれば、耳元でクスリと笑う気配がする。 「夏野は素直じゃないな。でもいいよ、夏野がやめてほしいって言うなら止めてあげる。ただし、ネクタイをちゃんと締める事ができたらな。さっき教えてやったんだから出来るだろ?」 まだ夏野の首にかけたままだったネクタイを手に持たされて、結ぶようにと促される。 確かにさっき教えてもらったけど、背後の徹の事が気になって結び方など正直あまり覚えていない。それでも記憶をたどって震える手でネクタイを結び始めた。それと同時に止まっていた徹の手の動きも再開される。 大きな手のひらで腰を撫でられた後、左手だけが上へと這い上がり、指先で焦らす様に胸の突起の周りを撫でられる。一番感じる所を触られていなくても、確実に夏野の息は上がっていた。 小刻みに体が震え、頭がボーっとなる。まだ触れられていない胸の突起と股間で緩く勃ちあがりはじめた夏野自身が疼く。早くこの状況から逃れたいと思う一方で、もっと強い刺激が欲しいと思う自分がいる。 たどたどしい手つきでネクタイを結び、次はどうするのだっただろうかと考えていると、不意に今まで触れられていなかった胸の突起をきつく押しつぶす様に弄られた。 「痛っ!」 痛みに小さく悲鳴をあげる。でも、もたらされたのは痛みだけでは無く甘い疼きが下を刺激する。 「ほら、早く結ばないと止められないぞ?」 「徹ちゃんが、邪魔、…するから。」 キッと睨みつけてやっても、薄っすら涙の浮かんだ目では威力も半減。どこ吹く風といった風にいつもの笑顔でニコニコ笑っている。普段優しい癖に、こう言う時は途端に性格が悪くなるのだから質が悪い。 「夏野は意地っ張りだな〜。でもそんなところも可愛いんだけどな。」 そう言い終わるやいなや、下で張りつめていた夏野自身をギュッと握りこまれた。 「あぁっ!!」 ガクリと足から力が抜けて、倒れそうになった所を徹に支えられて、上半身をベットに倒れ込むようにしてゆっくり床に膝をつく。夏野の腰を支えながら、徹が夏野のズボンをずり下げた。夏野自身を直に握りこまれて、ゆるゆると上下に扱かれる。 両手でシーツを握り締めて、ベットに顔を押し付けても声を抑える事が出来ずに、甘ったるい声が部屋の中に響く。先っぽから溢れ始めた先走りの液が自身と徹の手を汚していく。裏筋をたどる様に撫でられた後、先の穴を親指の腹でクルクルと撫でられた。 「はっ、あん………ぅんっ。」 「イってもいいよ。」 下は既にパンパンに張りつめて解放を求めているが、わずかに残った理性が夏野の首を横に振らせる。 「仕方がないな。」 クスリと笑った後、徹の手が乱暴に夏野を扱き下ろした。 「やっ、やだっ!やめっ、はぁあ。」 もう殆ど限界だった夏野は、先端の穴に軽く爪をたてられるとあっけなく果てた。 結局最後までネクタイを締める事など出来ず、意識が飛ぶまで徹の良いようにされてしまった。 もちろん気がついた後、お礼をするのも忘れない。 徹の腹に渾身の力でパンチをお見舞いしてやった。 ネクタイの締め方は、やっぱり父さんに聞く事にしよう。 ---------------- 4月に書くと言ってから、途中まで書いて放置して、結局8月ももう終わりとなってしまいました。 ………あはは。 お待たせしました。 |