伝えたい想い



夏野は徹のベッドに座って雑誌を読むふりをしながら、テレビの前に座ってゲームをする徹の背中を先程からずっと眺めていた。

あの背中に触れたい。
あの背中に抱き着いたら、徹ちゃんはいったいどうするだろう?
きっと始めはビックリするだろうな。
それからはいつも通り「どうしたんだ?」なんて言いながら保や正雄にするのと同じように頭を撫でてくるかもしれない。
または「何かあったのか?」と心配するかもしれないな。

まさか俺が徹ちゃんの事を好きだなんて事には気づきもしないで。

徹ちゃん。俺ね、徹ちゃんの事が好きなんだよ。
俺が徹ちゃんに好きだって言ったら、徹ちゃんはどうするのかな?
困る?
軽蔑する?
何冗談言ってるんだって笑い飛ばす?

喜んでくれたらいいのにな……なんて夢みたいな事を考える。

『好き』

その一言で今の関係が崩れて無くなってしまうかもしれない。
だとしても…もうただの友達では我慢できない。

想いは言葉にしなければ伝わらない。

「ねえ、徹ちゃん。」

「ん?どうした?」

例え受け入れてもらえなかったとしても。

「徹ちゃんに聞いてほしい事があるんだ。」

「何だ、俺に相談か?珍しい事もあるもんだな。」

「違うよ、相談じゃ無くて。」

それでも、この気持ちを伝えたい。
あんたにだけは知っておいて欲しいんだ。


「俺ね、徹ちゃんの事が―――。」



貴方にだけ伝えたい想いがあります。





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最近あまあまなお話が多かったので、ちょっと付き合う前の片思い的なお話もいいかと。
まあ、たまにはね。








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