たまには甘えて



夏野はゲームをする徹の背中を何となく眺めていると、無性に徹に触れたくなってきた。
ベッドからもそもそとおりると、四つん這いになったまま徹に近づいてピタリと背中に頬を寄せもたれ掛かる。

「どうした夏野?」

「んー、何でもない。ゲームしてて。」

「そっか?」

徹は夏野を気にしつつもゲームを続ける事にした。
夏野はしばらく徹の背中にくっついていたが、何か違うなと思い、またもそもそと動き始めた。
今度は徹の前に回ると、胡座をかいて座る徹の膝にぽすんと寝転がる。
徹はゲームをする手を止めると膝の上の頭を撫でた。

「ゲームやめようか?」

「いいよ。俺の事は気にしないで。好きにしてるから。」

「そうか?…わかった。」

夏野は横を向いて寝ていたが、クルリと上を向くと徹の首筋や頬にぺたぺたと触り始めた。
徹は少しくすぐったいと思いながらもとりあえず夏野の好きにさせてやる。
しばらくするとそれにも飽きたのか、また夏野がもそもそと動きだした。

「徹ちゃん。やっぱりゲームやめて。」

「ん?ああ、んじゃ今セーブするから。」

徹がセーブをしてゲームの電源を切ると夏野が起き上がって徹を畳に押し倒した。

「うわぁぁ!なにおする夏野。」

夏野は徹を押し倒した後、自分も徹の横に寝転がった。

「徹ちゃん、抱きしめて。」

「へっ?こっこうか?」

徹は言われるままに横で寝転がる夏野を抱き寄せた。
夏野は満足そうに徹の胸に顔をうずめた。

「うん。やっぱり徹ちゃんの腕の中が一番好き。」

徹は珍しく素直な夏野に笑みを深めると夏野の髪に顔を寄せる。

「どうした?今日はやけに甘えん坊だな。」

「たまにはいいだろ。」

「俺としてはいつもこうして甘えてくれたら嬉しいけどな。」

「ダーメ。たまにだからいいんだよ。」


たまにはちょっと素直になってあんたに甘えてみるのも悪くない。
でも甘えるのはたまにだよ。
だって居心地がよ過ぎるから動けなくなってしまう。
徹ちゃんの腕中は俺のお気に入りの場所だから。



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夏野はもっと甘えたらいいと思ったので。






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