お気に入りな訳



「相棒、どっちがいい?」

悠の目の前に陽介がスッと差し出したのは二本のペットボトルだった。
1本はリボンシトロン、もう一本はリボンナポリン。
よく冷えて水滴を纏ったそれは、容器の中で透明の液体とオレンジ色の液体が小さな泡を浮き上がらせていた。

「んー、じゃあナポリンの方で。」

悠は迷う事無く即答し、オレンジ色の液体が入った方のペットボトルを受けとった。

「そういえばさ、お前、最近ナポリンの方ばっかり選ぶよな?前はシトロンの方が好きって言ってなかったけ?」

悠の横に腰を下ろしながら陽介が訊ねる。

「ん?うん。味はリボンシトロンの方が好きだよ。でも最近はリボンナポリンがお気に入りなんだ。」

「なんで?」

「知りたい?」

「うん。」

興味津々の顔で覗き込んでくる陽介に笑みを深めながら、「それはね。」と口を開いた。

「陽介ってさ、オレンジ色が好きだろ?」

「え?あ、うん。」

「鞄とか服とか小物とかオレンジ色の物結構持ってるし。」

「確かにそうだけど、それが何か関係あんのか?」

「うん。それでね、オレンジ色を見ると陽介の事思い出すようになったんだよ。」

「???」

「リボンナポリンもオレンジ色だろ?だからついついナポリンの方選んじゃうんだよね。」

そう言ってニッコリ笑ってやれば、漸くその意味を理解した陽介の顔がみるみる赤く染まった。

「バッ……………バカ/////」

「それが最近ナポリンの方ばかり選ぶ理由だよ。」

真っ赤になって照れている陽介をそっと抱き寄せて、その唇にキスをした。




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先日たまたまコンビニでリボンナポリンを見つけまして。
思いついたネタでございます。



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