君の方が可愛いって



うちのリーダーは顔も良ければ性格も良く、その上頭まで良いときている。
天は二物を与えまくりだ。
当然そんな相棒の事を周りの女性は放っておかない。
特別捜査隊の女性陣はもちろん、天城と人気の一二を争う海老原あいや、演劇部で一緒の小沢結実。果てはバイト先の人妻やナースまで相棒に夢中だとかどうだとか……。
まあ、人妻やナースの事はあまり知らないが学校の女性陣は少なからず敦貴に好意を持っているのは見ていればわかる。
そんな敦貴の事がうらやましくもある半面、相棒として誇らしくもあった。
そして何がどうなったのか、そんな完璧でモテモテの相棒は現在俺の恋人だったりする。

昼休み、学校の屋上で敦貴が作って来てくれたお弁当を頂きながら幸せをかみしめていた。
相変わらずこいつの作る弁当は最高に美味い。
特捜隊の女性陣にこいつの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらいだ。
ちなみに今日のメニューはハンバーグだった。

「あー、美味かった。ごちそうさま。」

ご飯の一粒も残さず、綺麗に平らげた弁当箱を蓋をしめて敦貴に返す。

「なあ、陽介。」

「ん、何だ?」

「マリンカリンてさ、マリンカリンオートってあったっけ?」

「は?」

突拍子も無い発言に、陽介は思わず素っ頓狂な声が出た。

「だから、マリンカリンのオート。」

「マリンカリンてあれだろ、魅了するやつだよな?」

「そう。」

「いや、無いんじゃねーの?少なくともうちのメンバーのペルソナには、誰もそんな能力付いてねーだろ?」

「うん、そーだよな。」

「ジライヤにも付いてないよな。」

「付いてねーよ。てか、なんだよ急に。どうかしたのか?」

敦貴は何か悩む様に「うーん。」と唸った後、突拍子もない事を言い出した。

「最近陽介の事が可愛くて仕方ないんだよ。だからフルオートでマリンカリンでもかかってるのかと思って。」

「ブーッ!」

思わず噴き出した俺に、敦貴は「あー、汚いな〜。大丈夫か?落ち着け。」なんて言ってる。
いやいやいや、落ち着くのはお前だろ?何言ってくれちゃってるの。

「可愛いって何?それはお前の目がおかしいだけだよ。それか頭をどっかで打ったのか?」

「む、失礼なヤツだな。俺の視力は1.5と2.0だ。ついでに頭もいたって正常、昨日の英語の小テストも100点だったよ。」

いかにも心外だと言わんばかりに眉間に皺を寄せて、唇を尖らせているお前の方がよっぽど可愛いと思いますよ。

「俺が可愛いとかないから。むしろ可愛いって言葉は敦貴の為にある言葉だと思うけど。」

「はあ?」

俺の事を可愛いと言った敦貴は、自分が可愛いと言われると『何言ってるんだこいつは』みたいな呆れた顔でこちらを見てきた。挙句に「男の俺が可愛い訳ないだろ。」なんて言ってくる。

「いやいや、俺もれっきとした男ですからね。」

「知ってる。下にもちゃんと立派なの付いてるし。でも陽介はいいんだ、男でもかわいいから。」

わー、この人下ネタなんて絶対に言いそうに無い顔してるのにサラッとそう言う事言うし。きっとこいつのファンの女の子が聞いたらビックリするよ。
しかも俺は例外みたいなそれ何よ?その言葉そのままお前に返してやるよ。

「あー、もう。敦貴様は勝手だな。」

「いいんだよ。それより陽介。」

「ん?」

俺が「何?」と目で問えば、隣に座っていた敦貴がゆっくりと俺を押し倒して、覆いかぶさってきた。

「しよ。」

「しよって、ここ学校の屋上なんですけど。てか、他にも人いるから!」

焦って敦貴を押しのけようとしたら「誰もいないよ。」と言う答えが返ってきた。押し倒されたまま周りを見渡すと、屋上には自分達以外誰もいなかった。

「さっきチャイム鳴っただろ、気付かなかった?」

「へ?」

敦貴とバカな事を言い合っているうちに休み時間は終わってしまったらしい。と言う事は今は授業中?さぼり決定?

「昼休み終わったの気付いたんなら言えよな。午後の授業どうするんだよ。」

「気付かないお前が悪い。」

「…俺のせいかよ……。てか、何してるの?」

何やら下の方からカチャカチャと音がする、顎を下げて見てみると敦貴が俺のベルトをはずしてズボンに手をかけていた。

「可愛い陽介を襲ってる。」

「…お前なぁ。ゴムとかどうするんだよ。」

「大丈夫、ゴムもローションもちゃんとあるから。」

そう言って敦貴はポケットからゴムとローションのパッケージを取り出した。まったく用意の良い事で。

「じゃあ今日は俺が下?」

「うん。もしかして上が良かったか?」

「いいよ、そのかわりうんと気持ち良くして。」

ちゅっと音をたてて、敦貴の唇に触れるだけのキスをした。

「もちろん。」

敦貴は綺麗に笑ったあと、陽介のズボンのファスナーをおろして下着の上に唇を寄せた。まだ何の反応も示してしなかった俺自身に唇で食むようにして刺激を与えてきた。

「はっ…ん。」

柔らかい唇がやわやわと与える刺激に少しずつ俺のものが硬くなっていく。

「あつ…たか。」

もっと強い刺激が欲しくて名前を呼べば「なに?」なんてとぼけた顔をして聞いてくる。わかってるくせにわざとらしい。

「もっと…気持ちよく、してくれんだろ?」

「どうしてほしい?」

「舐めて。」

「了解。」

敦貴は満足そうに微笑むと、俺のズボンとパンツをずり下ろした。
勢いよく飛び出した俺のものが敦貴の頬にペチリと当たる。

「少し刺激しただけなのにもうガチガチだな。」

僅かに滲み出た先走りの液を敦貴の舌が掬い取る。
その後根元から先に向けて舐め上げて、パクリと咥えられた。
温かい口内の熱とヌルリとした舌が絡みつき、背筋にブルリと快感がはしった。

「はぁッ、」

「よーふけ、きもちい?」

「バカッ、咥えたまま、しゃべるな。」

まるで飴でも舐める様に俺のものを舐めている敦貴の顔は頬を紅く上気させ、瞳はトロンと潤んでいた。

「んっ、敦貴、その顔エロ過ぎ。俺の舐めながら感じた?」

「ああ、早く陽介の中に入れたい。後ろ触っていい?」

俺の返事を待たずに、一旦俺のものから口を離した敦貴はローションの袋を破いて、ドロリとした液体を指に絡めた。濡れた指が様子を窺う様にゆっくりと後ろに埋められていく。

「ふぅっ、ぁぁ…くぅ。」

一番はじめに感じるこの違和感だけはいつまで経っても慣れない。
少し萎えかけた前をまた敦貴が口に含んで高めて行く。それに合わせて後ろの指は腸壁を広げる様に動かして、中を解していく。やがて2本に増やされた指は、今度は俺の弱いところを必要に攻め立ててきた。

「ひゃッ!そこ、ばっか、弄んな。」

「でも、きもひいいらろ?」

敦貴の口に含まれたままの俺のものからダラダラと堪え切れない液が溢れる。

「はぁっ、もっ、無理。イくッ。」

俺の声を聞いて、敦貴は俺のものを喉の奥まで咥え込んで頭を激しく上下に動かした。

「バカッ、やめ、離せって、はあぁッ!」

敦貴の頭を押して引きはがそうとしたが時すでに遅く、背を仰け反らせた俺は堪え切れなかった熱を敦貴の口の中へと吐き出した。
敦貴の喉がコクリと鳴る。ようやく離された口からは、飲みきれなかった白濁の液体がトロリと垂れていた。

「まずい。」

「じゃあ飲むなよ…。」

勝手に飲んでおいてそのセリフってどうなのよ……まあいいけど。

「陽介にもお裾分け。」

そう言って合わされた唇から温かい舌が滑り込んできて、青臭い味が口の中に広がった。

「陽介の味。」

「いや、俺の味とか知りたくないから。何の嫌がらせだよ…。」

何がそんなに楽しいのか、俺の上に覆いかぶさったままクスクスと笑い始めた。
いたずらに成功した子供みたいに得意げな顔しちゃって。そんなところが本当に可愛いんだよな〜、本人は分かってないみたいだけど。

「やっぱお前の方が可愛いと思うよ。」

俺がそう言うと、笑いを止めてキョトンとした敦貴は、すぐにニヤリと笑ってこう告げた。

「心配しなくても大丈夫。陽介にはこれからもっと可愛くなってもらうから。すぐに可愛く喘がせてやるよ。」

別に心配なんてこれっぽっちもしていませんけどね!
て言うか、その台詞はちょっとオヤジくさいぞ。
すぐにキスで口を塞がれてしまったので、とりあえず心の中で叫んでおいた。

可愛いかどうかは別として、その後宣言通りに散々喘がされて、結局午後の授業は全てさぼってしまった。
隣に横たわる相棒を見れば、小さな寝息をたてていた。

「あーあ、可愛い顔して寝ちまって。」

俺のことを抱きながら、こいつは何度も可愛いと囁いていたけれど、俺がこいつの事が可愛くて仕方ないように、こいつも俺のことが可愛くて仕方ないって事なんだろうか。
それってアレか?お互い惚れた弱みってやつ?
そう考えると、俺達って救いようの無いバカップルなのかも……。

溜息をついて空を見上げたら、六時間目の終わりを告げるチャイムが聞こえた。





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うー、やっぱりまだちょっと書き慣れない。
がんばろっと。





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