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ああなんて鈍感な人 


「俺が好きな人って知ってるっけ」

サッカーの雑誌を読みながら突然、豆腐がそんなことを言いだした。テレスの中で回答は既に決まっている。勿論、フィディオだ。最近豆腐はイタリアエリアによく行く。そのイタリアエリアでフィディオに会い、二人だけで話してばかりいる。
そんな豆腐の行動から察するに豆腐はフィディオの事が好きだ。とテレスは考えた。

「フィディオだろ」
「あー……」

そう言って豆腐は黙りこんだ。少し寂しそうな顔をしながら。さっきの質問の真意を伝えず豆腐はそのまま雑誌を読み続けた。
そのまま沈黙の時間が続く。テレスは若干居心地悪さを感じた。居心地悪さを解消すべく考える。何か話題が無いかとテレスは思ったが、先程の話題が脳裏に残ってしまいそれしか言う事が無かった。
仕方ないのでその話題を続ける。

「なあ」
「なに」
「豆腐の好きな人って誰なんだよ」
「えー、言わなきゃいけない?」
「自分から質問しといてなんだよ。気になるじゃねーか」
「はいはい」

豆腐は雑誌を閉じ、立ち上がる。そしてテーブルの上に手を置いて前のめりになる。何度か深呼吸をして真っ直ぐテレスの目を見る。そうして、やっと豆腐は口を開いた。

「テレス、お前だよ」

「じゃ、またな」と豆腐はそのまま去ってしまった。そして、呆気に取られているテレスだけが残った。

「言い逃げとかずるくねーか……」



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