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蛇口の開け方を探す 


ぱちぱちと竈の炎が音を立てる。鍋の中身が出来上がるには、まだもう少し時間が掛かりそうだ。そう思案しながら曲げていた身体を伸ばし、ぐぐぐと反らす。真正面に在る窓からは竹林が見え、風に吹かれて揺らめいていた。草と草が触れ合う音が、鳥の囀りが、家の周辺のあちらこちらから聞こえる。
その音に混じり、小さな足音が此方に近付いてくるのが聞こえた。音の正体が分かっている自分はそっと瞼を下ろし、それがすぐ近くまでやって来るのを待つ。からりと音が鳴った。玄関の障子の音だ。俺は下ろしていた瞼を上げ、音の鳴った方向へと上半身を向ける。

「あるじ、ただいまもどりました。」

視線の先には、俺の見知った少年が立っていた。黒いランドセル、紫色のカソック、白いシャツにカソックと同色の半ズボン。煤色の髪に淡い青紫の瞳。今日も無事に帰ってきたことに、安堵の息を洩らす。

「お帰りなさい。長谷部。」

――そう言って小さな身体を抱きしめると、彼は一輪の花が開いたかの如く微笑むのだった。

「……? あるじ、もしやりょうりを?」
「ん? ああ、いつまでも長谷部にやらせるのもどうかと思ってな。結構旨くできそうな気がするぞ。」

俺と目の前の少年――へし切り長谷部と共に、山奥の小さな日本家屋で暮らしている。これには少しばかり複雑な事情が絡んでおり、この小さな子供が俺の事を"主"と呼ぶのも、"へし切り長谷部"という奇妙な名前の由来も、コレが関係していたりする。あ、外では流石に主とは呼ばせていないぞ。

「ですが……。」
「心配するなって。料理の仕方なら知ってるぞ。いや、思い出したって言った方が良いか?」
「おれもてつだいます。」
「いいから、いいから。座ってなって。――ホラ、味見。」

「むぐっ」拒否の言葉を紡ぎそうな口に無理矢理、薄切りされた豚肉を放り込む。ちなみにちゃんと火は通してある。今日は豚汁と炊き込みご飯、あと白菜の漬物だ。長谷部は数回か咀嚼した後、漸く飲み込む。大人しくなったのを見計らって、鍋を取り出して適当な所に置いた。蓋を開けば美味しそうな香りがそこらじゅうに広がる。うん、旨くできたみたいだ。
背後で「……アイツとおなじあじつけだ」という小さな声には聞こえないふりをした。長谷部の言う、"アイツ"は俺にはよく分からない。


どうやら自分は"記憶喪失"というものらしい。
気が付いたら白い部屋のこれまた白いベッドの上で寝かされていた。自分の名前も分からず、今の自分の状態も解らず、己と身体的特徴がよく似ている――要は"大人"が告げる言の葉に耳を傾ける事が出来ず、ただ只管に怯えていた。耳を塞ぎ、眼を閉じ、布を被って震える。自分には他人が恐ろしく見えたのだ。今の所、理由は思い出せていない。
数日経った頃だろうか、白い部屋に一人の少年が現れた。怯え震える俺に、彼は何も言わなかった。備え付けの椅子に座り、動かず、喋らず、俺と言う名の白い布の塊を見つめるばかり。そうして時間が経ち、沈んだ太陽がまた上り始めた頃、俺は気付く。『この少年はいつ眠り、いつ食事を摂り、いつ排泄するのか』と。正直に言ってしまえば、少年が何者であるかよりも三大欲求に対する疑問の方が勝った。疑問が湧いてしまってからの行動は早く、だがやはり怖かったので布の隙間から少年を覗き見る。

――目が、合った。

なんとなく気まずくて、視線を下にずらす。晒された少年の白い脚が、寒そうに見えた。自分は布を被っているからそうとは感じないが、この部屋は寒いのではないだろうか。布を被ったまま身体を起こし、その場に座る。よくよく見れば、自分の身体の殆どは白く細長い布で覆われていた。覆われた箇所を触れると、つきりと鈍い痛みが身体中を巡る。
思えば自分の身体を見つめるのは初めてかもしれない。そうか、自分は怪我をしているのか。何故か唐突に脳裏に過ぎる。"思い出した"と言っても良いかもしれない。怯えている間も痛みは感じていたが、それは気のせいだと思っていたのだ。細長い布だって、服の一部だと思っていた。思い出してみれば、記憶を失くす前に負った怪我で、治療している最中だという事が分かる。それでも、原因は未だ思い出せない。なんとももどかしい、気持ちの悪い感覚だ。
寝巻の上に着ていた上着を脱ぎながらベッドから下りる。少年は驚いたように眼を見開き、俺の事を見上げる。瞬き数回、目線を合わせて肩に上着を被せた。久方ぶりに這い出た布団の外は、案の定寒い。こんな所でずっと俺の事を見ていた彼は、きっと風邪をひいてしまう。それは駄目な気がした。

「風邪……ひくぞ。」

まるで信じられないものを見るかのような表情。そこまで予想外だったのだろうか。もし少年と知り合いだったとしたら、記憶を失くす前の自分はどんなことを彼にしたのだろうかと脳内で頭を抱える。少年は何回か瞬きをした後、口元に手を当てて頬を染めて俯いた。あれ、可愛い。かも?
そうぼんやり考えていると、少年は勢いよく立ち上がり真っ直ぐ自分を見つめてきた。綺麗な青紫の瞳に魅入られる。

「あ、ある、じ、」
「"あるじ"? それが俺の名前なのか?」
「い、いえ、ちがいます! "あるじ"はその、やくしょくめいみたいなものでして……!」
「役職名……。」
「あるじにはきっと、すてきなおなまえがあると……。」
「名前、か……。」
「あるじ……?」

自分の呼ばれ方に関して思考を巡らす。果たして自分に名前はあっただろうか。かれこれ何年も呼ばれていないような気もするが。どころか、"主"と呼ばれる事に何にも抵抗が無い。普通は違う、と思う。

「……悪い、思い出せない。」
「いえ、いえ、それでよいのだとおもいます。おれは、あなたのなまえをしってはいけないことになっていますから。」
「どういうことだ?」
「おれは、おれたちは、"そういうそんざい"だからです。」

訳も分からず首を傾げる俺に、悲しげに目を細める少年。主人に置いてけぼりにされた犬のような目だ。言い知れぬ罪悪感に見舞われ、俺も俯いてしまった。今まで気付かなかったが、少年の右隣にそこそこ長い棒のような物が転がっていた。見た事がある、と思う。触れた事も、恐らくある。デジャ=ヴュのような感覚を確かめるかのように装飾の付いた棒に手を伸ばそうとすると、「あるじ」と頭上から声を掛けられて手が止まる。

「す、すまん、お前の私物を、勝手に……。」
「いえ、かまいません。ですが、それにふれるまえに、こちらにめをとおしていただければ、と。」
「……なんだこれ。」
「あるじのおかれているじょうきょうのかんたんなせつめいと、これからのことがかかれているようです。……あるじのちょっきんのじょうしは、とてもしんせつなかたですね。」
「そ、そうなのか……。」

正直"直近の上司"と言われてもピンとこない。残念ながら。彼との会話でぼんやりと分かったのは、自分には少年のような部下が居て、上司が居る、中間管理職のような存在のようだ。ということは目の前の少年は働いているのか、通りで言葉遣いが丁寧だと思った。でもこんな幼い子を働かせるってそんな、時代錯誤も甚だしい。
少年に渡されたプリントを受け取り、ベッドに腰掛ける。少年はあれきり立ったままだ。座る様に促したのだが、首を横に振って座る気は無く。いたたまれない思いが巡るが、とりあえず目の前の文字に集中することにする。
どうやら自分は"審神者"という職業に就いており、歴史改変を目論む"歴史修正主義者"という輩を殲滅するのが仕事だそうだ。"刀剣の付喪神"を呼び起こして、歴史修正主義者が暴れている過去の時代にタイムスリップするらしい。呼び起こされた刀剣の付喪神は"刀剣男士"と呼び、目の前に立つ少年もそうだと言う。
どうにも現実味の無い、ゲームの世界か何かかと思ったが、自分に巻かれた包帯が全てを物語っている。自分が傷だらけになった上に記憶喪失になった理由は、職場にその歴史修正主義者が乗り込んできたからだそうだ。
まあ過去の事は記憶が戻ってからにしておくとして、これからの事だ。そう思って俺はプリントを捲ってもう一枚のプリントに目を通す。突然職場に戻ると混乱してしまうだろうからと、上司が用意した仮の住まいで少年と共に暮らせとのこと。ちょっと意味がよく解りませんね。自然療法って奴ですかね。まあ確かにいきなり働けってわけにもいかないだろう。それにしたって処置の方法が酷いけど。
そう納得して少年に向き直る。すると当然のように目が合う。俺は眉間に皺を寄せている少年を安心させるように微笑む。

「――どうやら俺は、記憶が戻るまでお前と一緒に暮らす事になったそうだ。」
「ほんとうですか! あ、いえ、それは、たいへんなことになりましたね。ばしょがどこであれ、ヤツらがおそってくるかのうせいがたかいですから……。」
「あ、やっぱりそうだよな……歴史修正主義者、だっけ? ……もタイムスリップできるみたいだし、正直何処に居ても危険だよなあ。」
「ごあんしんください。あるじは、おれがまもります。こんななりになってしまいましたが、ちからはあるじのおすみつきですよ。」
「……そうなのか?」
「おまかせあれ、なんでもきってさしあげましょう!」

おお、見事なドヤ顔。微笑ましいな、と思わず頭を撫でた。触れた彼の髪は、さらさらしていて指通りが良くて心地良い。あまりの心地良さに何度も何度も梳いてしまう。すぐ隣にあるのは死の恐怖だと言うのに、こんなに和んでしまって良いのだろうか。なんとなしに少年を見れば、初めて話し掛けた時よりも更に赤い顔で俯いていた。
……なんというか、これは、

「……怒ってる、のか?」
「ちっ、ちがいます。その、なれないといいますか……。」
「止めた方が良いか?」
「もうすこし……。」

そうか?と呟いて止まっていた手を再び動かす。猫のように目を閉じて掌に擦りつくのが擽ったい。舌足らずだが丁寧な言葉遣いで喋る少年は、年相応に甘えん坊のようだ。甘える彼の姿に、何処か安堵した自分が居た。
その理由には思い出せないまま。


それからの展開は早かった。
長谷部の小さな手に引かれて歩けば竹林の中。其処に至るまでの施設の中で何度か関係者らしき人とすれ違ったり、話しかけられたりしたが、全て長谷部が答えた。俺はと言うと、他人が恐ろしいらしくガタガタと震えるばかりで、何も答えられなかった。情けない。二人の外見も相俟って非常に情けない。が、相手は何も言わなかった。蔑んだ目ではなく、労わるような目で俺と長谷部を見ていた。
暫定的な対面恐怖症で、記憶喪失。だからこその竹林の中の家で療養生活なのだろう。此処まで至れり尽くせりで良いのだろうかと、長谷部を通して上司らしき人に伝えたが人手不足が故の扱いらしい。記憶が戻って審神者として復帰できなければそこで用無しとなる。生きる当てが無くなるが、それも良いかもしれない。が、そうなった時に長谷部はどうなってしまうのだろうかと考えると、早く記憶を取り戻さなければと思った。
仮の住まいに到着した俺と長谷部は既に届けられていた荷物を整理する。荷物と言っても必要最低限な物しか無く、むしろ長谷部の荷物の方が多い。それは何故か。

「……あるじ、おれはふふくもうしたてます。」
「だろうな。」
「なぜ、おれは"てらこや"にいかなければならないのですか……!」
「俺が訊きたい。」

そう、長谷部は学校へ行かなくてはならなくなったのだ。ちょっと意味がよく解りませんねパート2。苛々しつつもテキパキと荷物整理をする長谷部を尻目に、荷物に混ざっていた書類を読む。
歴史の改変と守護が絡む職業故、基本的に一般市民には開示されていな情報が多い。その内の一つに、刀剣男士の存在がある。成人男性ならまあ別に大丈夫なのだが(いや、男二人で暮らしてるのも変か?)、長谷部は見た目が完全に子供だ。非の打ちどころの無い美少年だ。そんな子が挙動不審な俺と一緒にそこらへんを歩いてみろ。通報待ったなし。審神者に戻る前に塀の向こうへ行ってしまいます。残念無念また来週。
まあなんというか、犯罪者ではなく保護者だと地域住民に認定されるようにする策が、長谷部を学校に通わせるということなのだ。先程も言った通り、自分は他人に対して挙動不審なので、しっかり者の長谷部の保護者が務まるかどうかは……あれ、もしかしなくてもこれは無理な予感しかしなくないか。

「これもあるじのためになるのであれば……このはせべ、さいりょうのけっかをあるじにおとどけいたします!」
「お、おう……頑張ってくれ……。」

そんな俺の不安を余所に、長谷部は決意を顕わにする。果たしてこれで良いのだろうか。そして俺の記憶は戻るのだろうか。
それは神のみぞ知る……って長谷部も神様か。頑張ろう、色々と。


「――さてはせべくん。じょうきょうのほうこくを。」
「ヤツらのしゅうげきもなく、ふだんどおりだ。へいわすぎてかんかくがまひしそうになる……。」
「だろうね……こちらもにんむのほうはつつがなく。あるじふざいのため、しゅつじんかんけいのにんむはできないけれど、そちらのほうはめんじょされているから、もんだいはないよ。」
「それで、へし切長谷部様。審神者様のご様子は如何でした?」
「そうだな……いまだきおくがもどったようすはないが、そのかわりよくわらうようになったとおもう。」
「は、え? あるじが?」
「……うそはいっていない。」

普段腹が立つ程余裕綽々な主の初期刀に向かって頷くと、分かり易く狼狽えた。彼の腕に抱かれた狐の式神も驚いたように目を見開く。気持ちは痛い程分かる。正直に言ってしまえば、俺も幻覚を見ているのではないかと思ってしまった程だからな。
そも、我らが主は刀剣男士に触れ合う事は無い。初めはそうではなかったと初期刀である歌仙兼定は語るが、俺が主の下に顕現した時には既にそうなっていた。当時は刀剣男士と審神者の繋がりはやや緩く、刀は出来ても付喪神が降りてこない、降りてきても一部の刀剣は歴史改変の道へと走る等、散々であった。主も己の刀剣男士に裏切られた審神者の一人で、初期刀と初の鍛刀で呼び出された短刀の後に顕現された刀剣に裏切られたと言う。

『僕が君にこの事を語る理由? そんなの決まってる。それは君が主にとっての二振り目のへし切り長谷部だからだよ。』

それは運命か、それとも皮肉なのか。よりにもよって、一振り目の己だった。
それ以来、主は笑わない。触れ合う事すらしない……唯一あるとしたら、それは手入れの時ぐらいであろう。一振り一振り念入りに手入れをし、『お疲れ様』と声を掛ける。たったそれだけだ。当時はもう少し触れ合いたいと思ってはいたものの、事あるごとに抱きしめられたり、撫でられたりと、今の自分が置かれている状況は少し刺激が強過ぎると思う。色々と。

「あるじが、わらった? きおくがぬけて、"す"にもどっているというのか……?」
「そういうことになるな。」
「素に戻っているという事は、それなりにスキンシップも取れているという事ですかね? 審神者様は、結構スキンシップが激しかった記憶が御座いますが……。」
「……あ゛?」

この駄狐、人が言わんとしていた事を。初期の頃を知っている過保護刀剣(その壱)にそのような事を言ってしまったら、十中八九面倒な事になるから口を噤んでいたと言うのに。

「――やっぱりはせべくんひとりにまかせられるわけがなかったんだ! ぼくもいくぞ!」
「おっ、お止め下さい歌仙兼定様! 貴方まで現世に行ってしまったら、誰が審神者様の代理をするのです!」
「みだれくんにまかせておけばいい! あるじといたにっすうはぼくとほぼおなじだ! なんらもんだいはないだろう!」
「駄目に決まってるでしょう! 初期刀! 初期刀としての役割をお忘れか!」
「あるじのそばにいれないで、なにがしょきがたなか! ええいはなせこんのすけ!」
「駄目ですうううう!!」

――矢張り面倒な事になった。周りの視線が生暖かい。それもそうだ、傍から見れば子供と動物が喧嘩しているようなもの。五虎退と虎がじゃれあっているような感じだと言えば分かり易いか、兎にも角にも微笑ましい事には変わりない。
今現在、主不在の本丸では全部で45口の刀剣が居るが、その殆どは今の俺や歌仙兼定のように幼い姿になっている。元々少年の姿で顕現された蛍丸や短刀の面々は、そのままの姿で居られたが俺達はそうではない。これは主が記憶を失くしているのと関係していて、力の受け渡しを無意識に遮断してしまっているのである。主を蛇口と例えるならば、今の状況は栓の開け方を忘れて中途半端に水が流れている状態なのだ。
一人傍観していたが、そろそろ止めなければならない。主が食糧の買い出しに行けなくなる。

「べつにきてもいいんじゃないか?」
「へし切長谷部様まで何を!?」
「……おどろいた、はせべくんがそんなことをいうだなんて。あしたは"けびいし"でもふってくるのかい?」
「わらえないじょうだんはよせ。たしかにいちばんれんどがたかいのはおれだ。だがぶつりょうでおされたら、いくらおれでもヤツらをたおしきれるかどうかわからない。ざんねんながらな。ならば、こちらもみかたをふやせばいい。あるじがいままでしてきたようにな。」
「そっ、それは……そうですけども……。」
「だからおれは、かせんかねさだにきゅうえんをもとめる。おうじてくれるか?」
「はせべくん……きみってやつは……。」

目の前に立つ幼い初期刀に手を差し伸べる。奴の腕に抱かれた狐は未だ狼狽えているが、狐とて歌仙兼定以外の刀剣を信用していないわけがない。
歌仙兼定が居なければ乱藤四郎が、乱藤四郎が居なければ他の刀剣が――と敬愛する主の為の楽園は廻って行ける。主が戻って来るまでのその場繋ぎ。その為なら己を含めた全ての刀剣は全力を尽くす。主は必ず帰って来る。それを信じている。主は必ず連れ戻す。そう決意している。
さあその手を取れ、歌仙兼定。主の傍に居たいだろう?俺が羨ましいだろう?主を守りたいのだろう?主に触れたいのだろう?さあ、どうする、歌仙兼定?

「こんなわかりやすいちょうはつにのってしまうなんて……ほんとうに、みやびじゃないね。」
「かっ、歌仙兼定様……? もしや……。」
「こんのすけ、わるいけどぼくはあるじのところへいくよ。」
「ああああ、やはりそうなってしまうのですね!? でっ、でもでも、今すぐ審神者様の下へは行かせられませんよ!? せめて一日は待って下さいよ!? 他の刀剣達に説明もしなければなりませんし、今すぐには無理ですからね!?」
「むう、しようがないね。」
「当たり前です!!」

やはり歌仙兼定は、俺の手を取った。子供らしくない力でお互いの片手を握る。幼いながらも好戦的な笑みで此方を睨む。俺もきっと似たような顔をしているのだろう。
これは正しく宣戦布告だ。主に懸想を抱く者同士、仲良く蛇口の開け方を捜してみようじゃないか。



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