今の私はどんな間抜け面をしているだろう。 まさかの裏切りに頭が真っ白になった。 いや、そもそも私と白石は味方同士なわけでもないけども。 「あ、もしかしてなつめ、ビビっとう?」 「…は?」 「まぁしゃーないわな。合コン行ってまでしても彼氏出来ませんでしたーってなったらいたたまれへんしな」 ああ、分かった。挑発してんのね。 ここで私が喧嘩を買えばヤツの思い通り合コン参加して笑い者、ってか。 いくら私でもそんなことに乗るほどバカなわけ―… 「乗った!」 声と共に高らかに上がったのは私の左手。 もちろん私の意志じゃない。というかずっと掴まれてるんだから出来るはずもない。 犯人は言わずもがな。 「謙也…、この手はな「そんなに言うならやったろやないか!」 「は」 「バカにすんなや。高梨だって彼氏の一人や二人ぐらい作るわ。な?」 「いや、あの」 「高梨っ、あんなやつに負けんとこな」 …これは、私の参加、決定ということですか。 私に選択の自由は? 「良かったなあ、なつめ。これで念願の初彼氏できるやん。写メ送ってなー」 勝ち誇ったような顔をして頭をぽんぽん叩かれた。 む、ムカつく…! 「は、白石何言ってんねん。お前も参加やで」 「…は?」 「ぶぶっ、なんだ白石も行くんだ。実は彼女ほしかったんじゃないの?」 「はあ?」 「白石と俺は高梨のサポートや。当然やろ」 悪意も感じられない、自然体な謙也は、言葉通りさも当然のように言った。 ああ、結局は純粋さが勝つんだ。 自分の醜さを思い知った気がした。 |