かわいいと思うのは、ふわふわした女の子。


形容するとそう、まるで天使みたい。髪は柔らかくて、金糸みたいに光に当たって照り輝くの。
毛先は切り揃ってて、内側にカールしてるのがいいかな。


目はパッチリどんぐり目。黒目が大きくて、目尻が垂れている感じ。

あと、私はすっぴんより軽く化粧をしている人の方が好きだ―――…






そこまで考えて、思考は放棄した。
やめやめ。無駄だよこんなこと考えても。



鏡に映った自分は天使とは程遠い。
髪は漆黒、ふわふわというよりストレートでシャープな感じがするし、目もどっちかって言うとつり目だ。
一時期お化粧も頑張ってみた時期はあったけど、近所に住んでる幼なじみの男子に爆笑されて、終了。

眉を整えるぐらいはするけど、本当にそれだけ。



焦がれているだけで、理想にはちっとも近付けない。


いつも私は劣等感を感じている。










「高梨さーん」

ヒラヒラと手を振って私を呼ぶのは、同じクラスの、正直ちょっと冴えない女子。


髪、絡まってる。朝ちゃんとセットした?

スカート、何でそんな膝丈にこだわるの?

化粧しないのはわかるけど、繋がりかけてる眉をなんとかするとか、それぐらい…



はぁ、とため息をひとつついて挨拶をした。

たまに寝坊して髪ボサボサで来ちゃうとか、その程度ならまだわかる(私はしないけど)。

でもこの子の場合はこれが毎日だ。
本当、理解できない。


私のクラスはいわゆる特進(通称がり勉)クラスだけど、…だけど、にしても!






「はああ…」

「高梨さん?どうしたの?悩み事?」


「…や、何でもないです」

「もしかして恋、とか」


「……」

あなたでもガールトークするんですか。とか
メガネの奥の目の輝きが怖いんですけど。とか
思いつく言葉は天使というより悪魔だ。



「本当、何でもないから。気にしないで」



さすがに気の毒に思えてきたから(向こうは親切心だし)できるだけ穏やかな笑顔を貼りつけて笑った。




―ごめん、私性格悪い。






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