第35χ 一富士二鷹三おっふ!(後編)@




「くぅちゃん、超能力者だから友達少なかったの。」

やっと私の中の点と点が繋がった。
周りは沈黙してしまって、微妙な空気になっているけれども。みんなは乾いた笑いに加えて妙な汗までかいている。

誤魔化したいのか、おじさんが必死に話を切り替えようとしている。ジャ◯プマークを90度傾けると女の子の横がになるとか、マンボーは一度に3億匹の卵を産むなど...確かに知らなかった。そもそもそこに疑問を持つことすらなかったし。新年早々ためになったなぁ。

突然、コップが倒れて中に入っていたジュースが机の上に広がった。誰かが動揺のあまり机を蹴ったのだろうか。これで微妙な空気は消え去ったけれど、机が揺れた感じはなかった。...多分、楠雄くんだろう。

今までおかしなことはいくつか見てきた。一番驚いたのは知予ちゃんのハンカチがふわふわと浮いたところだっけ。あの時は何が何だかわからなかったけど、よくよく考えてみると傍に楠雄くんがいた。そして他にも不思議な現象が起きた時には、すぐ近くに彼がいたような気がする。
鳥束くんが言っていた超能力者と言うのも恐らく楠雄くんのことだろう。転校してきた初日から仲よさそうだったし、力あるものは引かれあうのかもしれない。

スッキリしたのは良いけれど、何か不思議な現象が起きる度に楠雄くんじゃないかと疑うのはあまり心地が良い気はしない。
勿論、私は彼が超能力を使えても使えなくともどちらでも良いと思っている。この事がわかる前からずっと彼のことを目で追っていたのだから。

外はすっかり暗くなっていた。長い間お邪魔してしまったらしい。みんなで礼を述べて門の前で解散した。

自身の部屋に戻ってもう一度考えてみる。
楠雄くんは超能力者。それに対してはもう驚きはしない。問題はその後の振る舞い方だ。きっと今まで隠してきたのだから、今後も何も変わらずのままが理想的なのだろう。
私の方はそれで大丈夫だけれど、みんなはどうだろうか。まだ半信半疑な感じはあったから、おばさんの冗談だと思っているとは思う。おじさんのフォローがかなり残念だったけど。

年も明けてすぐ学校が始まる。今年も頑張らなくっちゃ!

The END




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