帝光/赤紫

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何でも出来るこの才能。
そうなると嫌でも周りからの期待や信頼などが付いてくる。


「赤ちん」

「やあ、敦」

「それ…」

「ああ、これか??…先生にまた頼まれてしまってな…準備室に持っていくんだ」

「ふーん…」


昼休み、敦にばったり遭遇した。
敦の口の中に入っていた棒付きキャンディーがガリッと音を立てた。
何を考えているのか分からない紫色の瞳は僕の顔を見詰める。


「赤ちんって大変だよね」

「まあな…お陰様で」


ん、と言い持っていた荷物が軽くなった。


「敦」

「赤ちんって本当頑張り屋さんだよね〜そんなトコも好きだけどさ〜。だからコレちょっとだけ持ってあげる〜いつものお礼〜」

「そっか…ありがとうな」

「俺がお礼言ったのに赤ちんがお礼言うとかおかしくない??」

「そうか??」

「おかしいよ〜変なの〜」


準備室に着いて預かっていた荷物を指定された場所に置いていく。
敦にはお礼にポケットの中に入っていた飴をあげた。


「わー、ありがとう赤ちん」

「いや、こちらこそ。助かったよ」

「ん、これめっちゃ美味しい〜」


当たりだ〜、と言いながら笑顔でこっちを見てくるから思わず服を掴んだ。


「敦」

「赤ちん…??」

「床に座って」


床に座り込んで見上げる敦は中々レアだなと思いながら髪を優しく撫でて額にキスをする。ん…と甘い声を出しながらもお構いなしにキスをする。


「赤ちん赤ちん。先生来ちゃうよ」

「俺に鍵を預けた位だ、そう直ぐには来ないよ」

「でも…」


怖いのか視線を泳がせる敦の唇にしゃぶりつく。
暫くキスを堪能するとそんなに心配なら教室戻ろうか、授業もうちょっとしたら始まっちゃうしねと言うと


「やっぱこのままいる」

「え」

「赤ちん、このまま俺と一緒にいよう??」

「なんでまた…」

「赤ちんは頑張り過ぎなんだよ〜ちょっと位休もうよ〜」

「そんな事はないと思うんだけど…」

「だって赤ちんが頑張ってる姿は俺が一番知ってるから」

「…ッ、敦…」


不意打ちは…本当ズルい…と思う…、と小声で言うと敦が俺の顔を覗き込んで


「あらら。赤ちん顔真っ赤」


リンゴみたいだね〜、と笑われてしまい更に顔が熱くなったと思う。
思わず敦を抱き締めた。


「ありがとう敦」

「またお礼〜??…赤ちんはお礼言うの好きだね」

「違うよ敦、敦だけ」

「俺だけなの??」

「そう、敦のこと大好きだから」

「俺も赤ちんのこと好き〜」


ぎゅ、と敦からも抱き締められて切ない位に愛おしくなった。
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