「……何をしているの」
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同室になったアデラ・リドルが部屋を出て行ってしまったが、コレット・ランダーとアニー・リヴィングストンはそれどころではなかった。
「アニー! 見た!?」
「も、もちろんよコレット!」
この二人、実は幼馴染にあたるのだが、自分たちの部屋を見つけた際、同じだったことをまず喜んだ。しかし、部屋は三人部屋、もう一人いるのだ。一体どんな子だろう、最初はなんて声をかけようかなとワクワクと緊張で扉を開けてみれば、そこにはすでに美しいプラチナブロンドの髪を持った少女がいた。
「あ、えっと……どうも」
「よ、よろしく……」
振り向いた彼女は顔に何も浮かべていなかったが、その冷たい美貌に魅入ってしまい、なんともつまらない挨拶になってしまった。彼女も短く返してくれただけである。これはいけない、どうしようと二人視線を交わらせていると、彼女は荷物の整理を始めた。いや、もうほとんど終わりかけているところをみるとすでに手をつけてはいたようだ。
あまりじっと見つめているのは失礼に当たると思い、それぞれトランクを開けて荷物を整理するフリをしながら、彼女の横顔を盗み見た。白い肌とプラチナブロンドが彼女をこれでもかと輝かせている。そして真っ赤な、まるでルビーのような瞳が白の中で妖しく光ってみえた。そして、まるでそのルビーを隠すようにプラチナブロンドが揺れて、前に出た。少し残念に思ったのも束の間、彼女は細い指で、さらりと耳に髪をかけたのだ。そして、見えてしまった白い首筋……。
さきに動き出したのはアニーの方であった。
「アタシ、アニー・リヴィングストン……です」
彼女の瞳がアニーだけに向く。コレットも慌ててその隣に並んだのだ。
「わ、私はコレット・ランダーよ!」
同い年とは思えない程大人びている彼女の姿に思わず顔を赤らめてしまった。
「アデラ・リドルよ。これから、七年間よろしくね」
アデラ・リドル。それが彼女の名であった。まさか、よろしく、なんて声をかけてもらえるとは思っていなかった。すでにこの時点で二人の間でアデラは神聖視されていたのだ。
いつの間にかアデラは部屋を出て行ってしまったけど、戻ってきたらまず最初に言わなければいけないことがある。だから、扉の前で二人並んで待機だ。
そして、ついに彼女が戻ってきた。
「「おかえりなさい!!!」」
お姉様!
―……何事
((お姉様と呼ばせてください!))
(……もう呼んだじゃない。同い年だからそれはやめて)
(ではアデラ様で! 私たちのことも名前で呼んでくださいね!)
(よろしくお願いしますアデラ様!!)
2017/08/25