01

 木漏れ日が心地良く、鳥たちの歌声が耳に届く。遠くに光が見える。
 さわさわと耳を撫でていく風の音。少し遠くの小川のせせらぐ音。木々が葉を擦り合わせる音。それらのすべてを身体で感じながら歩いた。デコボコした道は、足を取られやすいが、足元に眼を向けることはない。しばらく歩き続ければ、光がだんだんと強くなる。
 強く 強く、……刹那、強い光が目に飛び込む。
 桃色の髪が風によってさらさらと梳かれる。そっと眼を細めて、空を見上げた。彼女の瞳は空と同じ色をしている。
 島の中央の森を抜けたところにある開けた小高い丘は、海も空も見渡せる最高の場所。一ヶ月程前に島にやってきた彼女のお気に入りの場所だった。

 さぁ、

「今日は、何を描こうかな」


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bkm
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