Chapter 5-7
怪しい穴から遠ざかると闇の気は徐々に薄れ、ルーナの表情から苦しさが消えていった。
ルーナ「もう…大丈夫みたい…」
アルム「良かった、何かあったら大変だからね…」
レイシア「でも、まだ大きなモンスターに出くわすかもしれないわ。早く出ましょ」
体力の許す限り、4人は走った。走って走って疲れると、歩いて少しでも進むというように。
◇◇◇
30分ほどの後、4人はようやく教習所に戻ってくることが出来た。屋敷の扉を恐る恐る開いて、そばに誰もいないことを確かめる。ひとまず4人で固まって廊下を歩いていると、まずロエンに出くわした。
ロエン「アルムたち!一体どこに行ってたの、みんな心配してたよ!」
アルム「ごっ、ごめん!その…ちょっと町を見物してて…それで…」
ロエン「ああ、そうだったんだ。じゃ、ユリスの言ったことは違ったんだ…」
レイシア「えっ?ユリスが…何て言ったの?」
なるべく違和感のないように聞いてみると、思った通りの答えが返ってきた。
ロエン「えーと、4人は森に行ったんじゃないか、って。でも今よく考えたら、森に行く理由が分からないよね!」
…やっぱり。アルムたちは思った。極力隠したつもりだったが、やはり気づかれてしまっていた。
セリス「…だよな!意味が分かんねーぜ!ははは…」
レイシア「あっ、部屋の片付け忘れてた!みんな、ちょっと手伝ってよ!じゃ、ロエン、またね」
ロエン「うん、またね、レイシア」
4人はロエンと別れ、ひとまず自分たちの部屋に戻った。するとアルムが、3人の意見を求めるようにこう聞いた。
アルム「あの穴のこと…先生たちに言うべきだと思う…?」
その質問に、セリスとルーナは難しそうに考えていたが、レイシアはやめておいた方がいい、と首を横に振った。
レイシア「まだ確かなことが分かってないから、もう少し待ちましょ。それに、言ってしまったら「どこに行ってたのか」の言い訳ができないし…ね」
頼れるレイシアの意見に、アルムたちは素直に従うことにした。