Chapter 5-6
一方で、森の中では、3人の足跡を辿ってアルムが走っていた。さほど時間が経たないうちに、アルムはセリスたちと合流できた。
セリス「アルム!助かったんだな!」
レイシア「良かった…安心したわ」
ルーナ「これでまた、4人そろったね♪」
「じゃ、行こっか」と、アルムは先頭に立って歩き始めた。3人が聞いてこなかったのもあるが、別段話す必要はないと判断したので、アルムは自分を助けた男については何も言わなかった。
しばらく進むと、一層暗くなってきた。太陽はまだまだ高いはずだ。これは闇の気が強くなってきている証拠だった。ここで、ルーナに異変が起こった。
ルーナ「はぁっ…はぁっ…」
レイシア「ルーナ…どうしたの?」
ルーナ「なっ…なんだか…苦しい…」
セリス「苦しい?おいおい、大丈夫か?」
心配そうにルーナに駆け寄る3人。原因は闇の濃い空気を吸い込んだからであることに他ならない。4人の中でも最も幼いルーナに、一番に症状が現れたのだ。
アルム「でも…もう少しな気がする…」
ルーナ「あたし…頑張るから…先に進も…ね?」
レイシア「…分かったわ、我慢出来なくなったらすぐに言うのよ?」
レイシアの言葉に、ルーナは頷く。意を決して先に進むと、驚くべき光景が広がっていた。
セリス「なっ…何だこれは!?」
レイシア「…穴…?」
森の最深部は、木がない開けた場所だった。その中央には、深さの知れない穴があった。覗き込んでみると、わずかに紫色の妖しげな光が見える。と、底から風が巻き起こり、反射的に顔を穴から離した瞬間、巨大なモンスターが2、3匹現れ、4人に気付かず木々の向こうに消えた。
アルム「ここから…大きなモンスターが出て来てたんだ!」
セリス「どうする…飛び込んでみるか?」
セリスの発言に、しばらく考え込むアルム。自分に正直になるなら、迷わず飛び込みたいところだ。だが、ルーナのこと、教習所のこと、そしてそこにいる仲間のこと。それを考えると、この先には進めなかった。
アルム「…今日は戻ろう、森の奥からモンスターが出て来てるって分かっただけで十分だよ」
レイシア「そう…ね、十分な準備をしてから、またいつか調べに来ましょう」
ルーナも苦しそうな表情ながらしっかり頷いた。意見はまとまり、4人は元来た道をまっすぐ引き返していった。