Chapter 5-2
降り立った場所は、ちょうど森の入り口だった。ついこの前もここに来ているため、はっきりと見覚えがあった。

後ろを振り向くと、広大な草原が風に揺れている。今度こんな場所で、ゆっくりピクニックでもしたいものだが、今彼らがすべきことはそれではない。少し森に入った所にある実習の時の拠点となっていた場所は、テントなどが片付けられ、あっけらかんとしている。

セリス「確かに、前来たときより暗く感じるぜ…」
レイシア「モンスターに出くわしたら…固まって逃げるのよ、私たち4人じゃ勝てない敵もいっぱいいるわ」
ルーナ「うん、分かった」
アルム「じゃ、行こう」

4人は急ぎながらも周囲に注意を払い、ゆっくり進んでいった。だが、この森は人間にとってはかなり広大だ。原因を探すと言っても、特別当てのない彼らにとって、今回の森の探索は非常にハードなものになる。

アルム「待って…右から来てる!」
レイシア「…来てるわね!逃げるわよ!」

4人はいち早くモンスターの気配を察知し、離れるように左に道を採った。その後も地図を頼りに、時たまモンスターに出くわしながらも逃げ続け、なんとか森の真ん中くらいにある開けた場所までやってきた。猟師たちがキャンプとして利用していた場所なのだろう、中央には焦げ跡も見られる。

アルム「少し…休憩しよう、みんな疲れた顔してるし…」
セリス「そうだな、この先もっと危ねーだろうしな」


4人は焦げ跡を囲むように、丸くなって座った。道具が全くないため火を点けることは出来ない(ルーナが自分のメラで火を灯そうとしたが、レイシアに魔力を使うなと止められた)が、木々に囲まれたこの場所はかなり暗くなっていた。だが、彼らはその暗さが「闇の気」であることに気づけなかった。逆に言えば、まだ気づける段階まで気を察知する力が足りていないのだった。

アルム「…不気味だね。前に来た時と大違いだ」
ルーナ「うん、小鳥さんが1羽もいないね…」
セリス「そろそろ来るんじゃねーか?ドラキーマっていう巨大鳥が」
レイシア「バカね、コウモリは鳥じゃないでしょ。大体、何でここでそんなこと言うのよ…」

セリスの軽薄さに、レイシアはほとほと呆れた。来る途中はやけに真剣だったのに…やっぱり、セリスはセリスだったわけだ。

―――しかし、セリスの言葉は、冗談で終わらなかった。
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「見えない臓器の名前は」
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