Chapter 3-6
セリス「………でよ、ほんとビックリしたぜ。でもまぁ…それほど強くは無かったな…」
アルム「うそ…!ぼくたち、ものすごく敵が強かった感じがしたけど…」
それぞれの訓練が終わり、キャンプの拠点にて合流したアルムたち。木々の間を通り抜けるそよ風が、汗ばんだ生徒たちの体を冷ます。その汗と服の汚れから、かなり実習での訓練がハードであることが窺える。そして今、彼らは休憩時間恒例の雑談真っ最中だった。
レイシア「…でも、私もスピードには自信あったんだけど…セリスに負けてるなんて、何か悔しいわね」
セリス「お前なぁ、1つぐらい俺が勝つものあってもいいだろ、お前に何もかも負けてたら俺はただの能無しになるじゃねーか…」
レイシア「身長はあんたの方が上じゃない。違う?」
セリス「…あのなぁ…」
ルーナ「あはは、セリス、口でもレイシアに勝てないんだー?」
セリス「るせぇな、女は口は達者だって言うだ…ろっと!もうお前の殴りは見切ったぜ?」
レイシアの右拳を見事に回避したセリス。しかし、中途半端にかわしたため彼には更なる試練が待っていた。
セリス「痛ぇっ!今お前本気でケツ蹴ったろ!」
レイシア「え?今のまだ4割だけど?10割で蹴ってあげましょうか?」
セリス「でっ…バカ、止めろよ!」
そんな雑談に耽っていたら、アーロンが木立から姿を現した。そして改まったように咳払いを1つした後、いつもより小さめの声で言った。
アーロン「…次の戦術学の訓練は大変危険を伴う。よって少人数のみの非必修訓練とする。5人までだ。希望者は申し出ろ、早い者勝ちだ」
かなり真剣な顔つきに、生徒たちはややたじろいだ。それほど危険なのか?一体どんな訓練なのか?アルムの中で期待と不安が争い合う。その間に、タア、ロエン、レイシア、リズが申し出ていた。
アルム「(どうしよう…でも迷ったら行かなきゃ!)………はいっ!」
アルムは手を挙げた。しかし僅かにユリスの方が早く手を挙げていた。
アーロン「…ベルリベンツまでだ。レンバート、悪いが他の者と待っていてくれ」
アーロンはそう言うと、5人を連れて森の奥へと消えていった。