Chapter 37-34
夜の帳が下り、街辺りはそろそろ静まり始める時間になった。しかし屋敷では、皆が変わらず騒いでいる。
ディル「うぉ〜い、皿くれぇ〜…」
クラリス「ディル、あなた酔ってない?」
ディル「ん〜?あ〜。ちょっとだけな〜」
キース「へー、ディルは酒に弱いのか。初めて知ったぜ」
ラルド「…向こうにもう2人、やられたのがいる」
キース「?」
キースがラルドの指した方を振り向くと、そこには頬が赤らみ、すっかり出来上がったフェアルと、頭を押さえているアレクがいた。
フェアル「ア〜レク〜。なぁんでそぉんなにぃ〜、かおがあかぁいのぉ〜?」
アレク「ち、ちょっと…頭が痛…って、君も赤いじゃないか…」
フェアル「わらしはらいじょ〜ぶらよぉ〜?ねぇ〜、もっとおしゃべりしよ〜よぉ〜…えへへ〜」
アレク「…ごめ、悪いけど…っぷ!?」
突然、アレクの顔が青ざめ始める。フェアルを置いて、アレクは目的の場所へ駆け出した。
キット「…少し放っておくとまずい気がしますが」
ラルド「ああ…ちょっと行ってくる」
ラルドはやれやれ、とばかりに皿を置き、フェアルのもとへ向かった。
ラルド「おいおい、あんまり飲み過ぎるなって言っただろう?相変わらず人の忠告を聞かんやつだな…」
フェアル「ほわぁ〜、おに〜ちゃんだぁ〜!」
ラルド「!!?」
瞬間、ラルドは石化した。理由は至極簡単、フェアルがとろけるような笑顔でラルドに抱きついたからだ。
フェアル「えへへ〜、おに〜ちゃん、あったかぁ〜い…ふにゃ…」
ラルド「あっ…おいっ…おま…あのな…」
フェアル「ふぁっ…ん〜、すぅ〜…」
ラルドしどろもどろ。さらに悪いことに、フェアルはそのまま眠りに入ってしまった。これを見たギャラリーはもう、笑わずにはいられないわけで。
キース「ぎゃははははは!!お前今のツラなんだよ!!」
キット「これは大変面白いものが見られましたねぇ…ははは」
クラリス「ちょっとラルド、やめてよ、お腹痛い…!きゃはははは!!」
ラルド「………」
二重の意味で赤面しつつ、ラルドはフェアルを抱きかかえて部屋のベッドへと急いだ。
ラルド「…やれやれ、3日はからかわれるな…」
ラルドは幸せそうに眠るフェアルを見て、1つ大きなため息をついた。