Chapter 37-31
虹色の空間を越えて、彼らが地に足をつけた場所は、周囲を岩山に囲まれた窪地の真ん中、そこに構えている城の前だった。
ラルド「竜の女王の城、か…。ということは、もう一度飛ぶ必要があるな」
ディル「だな。さすがに岩山を越える元気は今の俺にはねえ…」
アレク「全くだよ…。というわけで…ちょっと楽をしようか。ルーラ!!」
皆を集める必要もないほどに、大きな魔法陣を地面に描くアレク。散らばっていた全員が、誰ひとり置き去りにされることなく洞窟の前までたどり着いた。
キース「おーいお前らー、先に言っとくぜー。屋敷に帰ったらパーティーだからなー!!」
不意に聞こえてきたキースの一言に、それまでセイファーたちとの別れでやや落ちていた皆がどっと沸いた。気分が高まったアルムたちが盛り上がるままに、20人という大所帯が次々と旅の扉をくぐり抜けていった。
◇◇◇
???「みんな〜っ!!!」
潮風香る港街に凱旋した20人を最初に迎えたのは、屋敷の方から駆けてくるフェアルだった。
ラルド「フェアル…なんで私たちが帰還したことが分かったんだ…?」
フェアル「そんなの、どうだっていいじゃない!さあみんな、早く来て!もう待ちきれないんだから!!」
ラルド「おい、ちょっと待…分かったからとりあえず放せって!」
ラルドが半ば拉致されるように、フェアルに引っ張られていく。初めて目にするラルドの可笑しな姿に、アルムたちは大笑いしながらその後を追った。
◇◇◇
キース「…なんじゃこりゃ」
開口一番、彼らは立ち尽くした。それもそのはず、屋敷の扉を開いたキースたちの前に広がっていたのは、自分たちがこれから根入れて作り上げようとしていたパーティー会場の完成図だったからである。…いや、まだ完成ではないのだろうか、ロビーのあちらこちらをお手伝いの者が忙しなく行き来していた。
クラリス「…すごいわね。お手伝いさんたち…」
キース「…そうか、3年前も手伝いさんに頼めば良かったんだな」
ディル「できるかそんな注文。気遣うっつーの」
???「おお、主役の登場だな…」
笑い声と共に現れたのは、この屋敷の主、レグルス=アーロン。彼はほんの少し白の混じった髭を撫でつけ、笑顔で20人を迎えた。