Chapter 37-19
オメガ「…貴様ら、何故ここにいる。無限の軍はどうした…?」
キース「無限…か。そりゃ、いくら倒してもキリがないわけだ」

オメガの問いに、キースはため息ひとつ交えて言った。

キース「さっきのお前の攻撃で、モンスターどもは消え失せた。残ったのは俺たち8人だけだったわけだ」
オメガ「…やはりあれを放つべきでなかったか。しかし…貴様らが来たところで同じこと!」

突如、オメガの姿が消えた。一瞬にも満たないような刹那的時間で、キースの背後をとる。そのまま、手にしている短剣を突き出す…が、肉を突き刺す音は響かず、ヒュッという空を切る音が残った。

キース「思ったより速いな。こりゃ、油断できねーぜ」
オメガ「次には…無いものと思うことだ」

またしても消えた。今度はキースも消えている。アルムたちの目に映らない速さで、キースとオメガが打ち合っている。時折金属音が聞こえるのみで、互いに相手に傷をつけられていないようだ。その様子を、ラルドたちはじっと見ていた。

タア「おい、あんたらも助けに入りゃいいんじゃねぇのかよ…!」
ラルド「よく言われるものだ。しかし、あれだけのスピードの攻防の中に、同じスピードとしても入るのは至難の業だ。キースを斬ってしまうかもしれんからな。敵の動きが遅い状態でなければ、外から割って入るのは無理に等しい」

ラルドはタアの方に顔を向けて、最後に付け加えた。

ラルド「…レジェンド、30点だ」


ここで、互いが一旦退き、距離をとった。まさにその時、ラルドが消えた。


ズバッ!!


オメガ「…ぐぉっ…!!」

オメガの体から大量の血が迸った。それがきっかけだった。キースたち8人が、一斉に攻撃を仕掛けたのだ。

アルムはその様子を見ていたかった。しかし、自分たちがやるべきことは分かっていた。

アルム「みんな、今のうちに少し離れよう。ぼくたちも、できる限りのことをやらなきゃ」

12人は少しばかり距離をとった場所で、各々気休め程度に体力を回復した。そのすぐ隣には、意外な人物がいた。それは、あちらで戦っていたはずのキースだった。

キース「…どうした?戦いに飽きたか?」
アルム「ちっ…違いますよ!ぼくたちだって…やれることをやろうと…」
キース「分かってるさ。そんなことを言いに来たんじゃねーよ」

キースは急に真剣な表情で、アルムに問った。

キース「アルム…お前は何のために戦ってるんだ?」
と。
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