Chapter 37-18
オメガ「…喰らうがいい!!」
オメガはそう叫び、体全体から何もかもを包み込むほど濃く、大きな闇の気を噴き出した。それは、遠く離れているラルドたちにも見えた。
ディル「…何だ、あれは!?」
キット「あの光景…見たことがありますね…!」
アレク「もし…あれが「あいつ」の使ったものと同じ技だったら…!」
ラルド「ああ、我々の視界一帯に広がる草原は一瞬にして荒野になる。私たちもただでは…!」
クラリス「だけど…私たちにはもう止めさせることは…」
キース「悔しいけどできねーな…くそっ、あと3分早けりゃ近くにいたってのに…!」
セル「オレたちもオレたちで、ギリギリなんだよな…!」
ルイ「はぁ、はぁ…ちょっと疲れてきたかも…」
敵に囲まれて、自由に動けない彼ら。この状態では、彼方で見えているオメガの動きを妨げることは叶わない。アルムたちに頼ることしかできないのである。
キース「…くそっ、俺たちもマジでいくしかねーらしいぜ…みんな、いけるか?」
キースの問いに、「もちろんだ」とばかりに頷く7人。
キース「…よっしゃ、いくぜ!!」
キースは手にしているロトの剣を、高々と天に向かって突き上げた。オメガの方に動きがあったのは、その時だった。
オメガ「…消え去れ!!!」
「闇」が、広がっていった。オメガを中心に、大地は轟き、土は巻き上がり、風は吹き荒ぶ。闇は光を遮り、混沌たる闇空を創り出していた。そして―――12人は、あまりの威力の前に為す術なく、一様に吹き飛ばされた。
オメガ「…その程度か?」
アルム「…くっ…まだ、まだだ…!」
アルムはもはやぼろぼろの体に鞭を打って、両の足で立ち上がった。側で倒れていた他の皆も、よろよろとしながらもどうにか立つ。
オメガ「…十分に加減したが…少しやりすぎてしまったか」
オメガは不敵な笑みを浮かべて、アルムたちを見下ろしていた。
オメガ「…この力があれば、世界を壊すことなど造作もない。しかし…我をこれほど煩わせる輩もそういなかった。世界の破滅に先立って、貴様らは我が直々に手を下してやろう…!」
そう言ってほくそ笑むオメガを、12人は睨みつけることしかできなかった。が、ちょうどその時だった。
―――キースたち8人が、アルムたちの前方に立ちふさがったのは。