Chapter 37-17
アルム「精霊が教えてくれた。ぼくに足りないものは、力でも技術でもない。ただあきらめない、強い心だったんだ。おまえがどれだけ強くても…ぼくたちは絶対に負けない!」
オメガ「妄言を…。貴様らのような年端もいかぬ幼虫共がいくら群がったところで、我の力の前にひれ伏すのみ!」
アルム「その言葉は…ぼくたち12人全員を倒してから言え!!」
アルムは眼光鋭く、オメガに斬りかかっていった。だがやはり、深紅の眼を持っていた時ほどのパワーとスピードがない。オメガはアルムの剣をひらりと避けると、暗黒の気に包まれた掌底でアルムを打ち飛ばした。
アルム「ぐっ…!」
オメガ「貴様の力はその程度か…?」
アリュード「まだまだ!」
アンナ「あたいらも忘れんじゃないよ!」
セリス「切り刻んでやらぁ!」
アルムが吹き飛ばされたのを見て、今度はアリュードたち3人が一斉に飛びかかる。全く別の咆哮からの、しかも速さの異なる3人の攻撃は完璧な間合いから放たれた。
しかし、オメガはセリスの剣を易々とかわし、アンナをアルムと同じように弾き飛ばし、最後に斬りかかったアリュードの剣をかいくぐって懐に入り、彼を蹴飛ばした。
セリス「ちっ…」
アンナ「がっ…!」
アリュード「うわぁっ!」
ルーナ「…マジックレーザー!!」
エド「シャイニングボウ!」
ルージャ「ベギラゴン!!」
近接では厳しいと思ったのか、ルーナたちは飛び道具で攻めにかかった。が、やはり、オメガは黒く光る右手でレーザーをかき消し、飛んでくる光の矢を掴み、強い風を巻き起こして業火を吹き飛ばした。
オメガ「…弱い、弱すぎる!この分では、貴様ら全員を葬るのに、5分とかかるまいな…!」
アルム「くっ…(何とかして、あいつに攻撃を当てないと…!)」
レイシア「(このままじゃオメガの言った通り、何もできないまま殺される…!)」
アルムたちは拳を握り締めた。ダメージを与えた与えない以前に、攻撃が全く当たらない。これでは、一生かかってもオメガを倒すことはできない。
オメガ「…お別れだ。我を本気にさせたことを、永劫に悔いながら無を彷徨い続けるがいい!」
女性の口からは、おおよそ想像のつかない低く凍える声が、12人の頭に響いた。