Chapter 37-15
アルムが振り向いた後には、鮮血を流しながら倒れている1人の女がいた。

アルム「やった、か…?」

アルムとしても心身ぼろぼろだった。自然と膝に手を当てて中腰の姿勢をとってしまうほど、体は悲鳴を上げていた。が、それでも口は動いた。

アルム「…みんな、ありがとう」

彼が見上げた先には、何より信じ続けた11人の仲間の姿があった。

レイシア「…あなたの言葉、ちゃんと届いたわ」
ルーナ「ずーっと、あたしたちを信じてくれたんだよね!」
エド「ま、おれたちも信じてたんだけどなっ!」
アリュード「僕たちだけ、寝てるわけにはいかないよ」
アンナ「まったく、あんたの頑張りには頭が下がるよ」
ルージャ「ボクたちも、がんばらなきゃね…!」
リズ「私は誓うわ。あなたと、みんなと戦うことを」
タア「てめぇ1人で良いとこ取ろうったって、そうはいかねぇ」
ノイル「みんなで勝たなきゃ、意味ないもんね!」
ユリス「もう誰ひとりとして、欠くわけにはいかないわ」
セリス「なんにせよだ、俺たちは仲間。それでいいだろ?」
アルム「…それでいいよ。他に理由なんていらない」

何度倒れてもまた立ち上がり、一緒に戦う理由。それは、みんなが仲間だから。それで十分だ。

そう思ってアルムはもう一度アルファに目を落とした…が、そこにアルファの姿はなかった。

アルム「いない!?」
アルファ「ふざけるな…!」
アルム「!!!」

顔を上げた先でアルムが目にしたものは、空中に浮かび怒りを露わにするアルファだった。

アルファ「オメガはどんな攻撃にも耐える外皮を備えている…なのに面白いように切れる!?ふざけんじゃないわよ…!!」
アルム「おまえ、何を言ってるんだ?言ってることがめちゃくちゃだぞ…!」
アルファ「あははははは…、残念だったわね、私を殺せなくて!もうこれ以上、おまえたちとの戯れ合いに付き合っている暇なんかないわ!!」

もはやその顔に浮かんでいるのは、狂気以外の何物でもなかった。その右手から繰り出された雷が、オメガの残骸を捕らえて灰燼に帰した。

レイシア「…なんてこと、魔力を吸収するはずの外皮ごと燃やし尽くすなんて…!」
アルファ「私に不可能なんてないのよ、おまえたちも同じように灰にしてやるわ!!」

狂ったように笑うアルファを見て、アルムはぽつりと言った。

アルム「おまえ…誰だ…?」
と。
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「見えない臓器の名前は」
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