Chapter 37-10
キース「…おい、そっちはどうだ!?」
アレク「うん、粗方片付いたよ!」
ディル「こっちはちょっと数が多い!クラリス、キット、加勢してくれ!」
クラリス「分かったわ!」
キット「了解です!」
セル「ルイーっ、やたら堅いやつがいるから呪文頼む!」
ルイ「オッケー、まかせといて!」
キースたち8人は、次から次へと襲ってくるモンスターの大群を抑えにかかっていた。数多のモンスターの中でも屈指の強者とされる魔物たちがひしめいていたが、さすがはキースたち、危なげなく対応し、確実に向こうの数を減らしていっていた。
ディル「くっ!…それにしてもアルムたちとアルファの奴はどこに行ったんだ!?」
キット「詳細は分かりかねますが…戦ってはいるでしょう」
あまりに敵の数が多いために、アルファがアルムたちと共に閉鎖空間に消えたことが分からなかった彼ら。だが、ひとまずの目標はここにいるモンスターを全滅させること。彼らはそれを確実に遂行しようとしていた。
ラルド「…キース、私たちもディルたちの援護に回ろう。こちら側はほとんど殲滅した」
キース「ああ、分かった…けどよ、お前いつから自分のことを「私」って言うようになったんだ?違和感ありすぎて調子狂うぜ…」
ラルド「…そうは言っても、1年以上もこう呼んでいるんだ。今更元に戻すのも、なかなか難しい注文だ」
キース「…まぁ、俺のが慣れてくけどさ」
ラルド「助かる」
こんな雑談も挟む余裕があった彼ら。その目の前に、突如として空間の歪みが生じたのはちょうどその時だった。
キース「…何だあれは?」
ラルド「…中から何か出てくるぞ!」
ラルドは警戒を怠らず、剣を構えて目を歪みが生じた場所から離さない。それはキースも同じで、ラルドと向かい合うように回り込み、2人は歪みを挟む形をとった。
それが徐々に大きくなり、やがて炸裂した。中から押し出されるように出てきたのは、12人の大所帯だった。
キース「…お前ら!どっから出てくんだよ!?」
ラルド「何があった?奴はどうした…?」
警戒を解いて、2人はアルムたちの元に寄った。
アルム「アルファが創り出した空間に閉じ込められていました。アルファ自身も一緒にです」
ラルド「アルファの姿が見えないようだが…?」
アルム「多分、アルファはどこかに隠れています」
ラルドは気付いていた。アルムの目が、赤く輝いていたことを。