Chapter 37-9
アルム「…再生するのなら、何度だって壊してやればいい。みんな、やろう」
5人は頷き、また構えた。
アルファ「いいかげんに…諦めろって言ってるのよ!!」
とうとうアルファも堪忍袋の緒が切れたか、叫びながらアルムに向かってレーザーを撃ち込んできた。アルムは手にした剣を真っ直ぐ突き出して、レーザーから身を守る防護壁を形成した。レーザーはその壁に沿って分かれ、アルムの遥か後方に消えた。
アルム「…これ以上、ぼくたちの人数が減ることはない」
アルムの瞳は、変わらず赤く煌々と輝いている。
アルファ「…いつまでそんな茶番を続けていれば、気が済むっていうのよ!」
オメガの巨大な腕が伸びてくる。アルムはすんでのところで後ろに跳び、叩き潰されるのを免れた。
アルム「…何回も言ったはずだ。ぼくたちは絶対に諦めない。たとえ腕がなくなっても、脚がなくなっても、命ある限りおまえに向かい続ける」
アルファ「…っ………!!」
アルム「それに…茶番をやめるのはおまえの方だ!」
目の色が変わってから初めて、アルムの声が強くなった。再び襲いかかってくるオメガの腕を剣で薙ぎ払うと、そのまま目にも止まらぬ速さでオメガの全身を切り刻む。そうした後で、アルムは剣を高々と掲げた。凄まじい雷が剣に降り注ぎ、光を放つ。それとほとんど同時に、空間の一部がひび割れ始めた。
タア「…おい、何をする気だ!?」
アルム「…この空間から脱出するんだ」
ユリス「待って!そんなことをするとセリスたちが…!」
アルム「大丈夫、諦めてないのはぼくたちだけじゃない」
言い終えると、空間の亀裂がまた一段と大きくなった。
アルム「ぼくだけじゃどうにもならない。みんなで一緒に、思いっきり地面の一点をたたくんだ。もう時間がない、あいつが再生しきる前に!」
その言葉を、5人が信じない理由はなかった。アルムのそばに駆け寄ると、全員が最大の力を武器にこめ、一点を狙った。空間の亀裂はもうそれと呼べない状態にまで広がり、オメガはもうほとんど元通りにまで再生している。
アルム「…いくぞ!!」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっっっ!!!」」」
アルムたち6人が渾身の力で地面を叩いたちょうどその時、歪んだ空間がついに割れ、6人の人影が見えた。それが誰であるかを確認する間もなく、全員の視界は真っ白な光に包まれた―――。