Chapter 37-8
この時、何より不思議だったことがある。それは、アルム以外の5人の力。普通では到底考えられないくらいの力を、5人は確かにこの時出していたのである。その力は、精霊の力を得ているアルムに匹敵するとも言えるほどのものだった。
ユリス「わたしたちの本気はここからよ、ジゴスパーク!!」
アルファ「ぐっ…あああっ…!!」
ユリスはオメガに直接剣を突き刺し、雷を呼び寄せた。それは直にオメガの躯を駆け巡り、アルファにもダメージを与えた。
アリュード「エレメント・クロスブレード!!」
アルファ「がっ…ぐぅぅっ…!!」
右には炎を、左には氷を纏って切り裂いたその2本の剣は、オメガの腹部に深い十字の切り傷を刻んだ。肉が焦げる臭いと、水蒸気が立ち上る。
リズ「…ギガブレイク!!」
アルファ「あぁっ………がっ…!」
休む間もなくリズの雷剣が一閃する。剣はオメガの右腕と右の翼もろとも引きちぎり、焦げ跡を残す。
ルージャ「…ドラゴラム!!」
ルージャは巨大な竜となり、煉獄の火炎をオメガに浴びせかけた。ルイの記録を抜いて、ついに9歳の少年が竜と化した。
タア「…くらいやがれ!!ギガソード・エンド!!!」
アルファ「やっ…やめ…がぁぁぁぁぁぁっ!!!」
衝撃波を巻き起こすほどの速さをもって、彼の闘気を最大限に吸収した大剣がオメガを頭から両断した。アルファの絶叫が辺りに響き渡るとともに、防御の限界を超えたオメガの体は焦げ付いてぐちゃぐちゃになった肉塊と化した。
タア「どうだ…!?」
最後に一撃を加えたタアが、気怠そうに大剣を持ち上げて呟いた。しかし、残酷にもアルファの声は聞こえてきた。
アルファ「残念だったわね…その程度じゃ、倒せないわ…!」
アルム「…なんだって?」
残骸とも言えるくらいにめちゃくちゃになっていたオメガの肉体が、徐々に融合を始めた。6人はひとりでに肉片が動き一体化していくその様子を、ただ見ていた。今攻撃を加えても無駄であるということが、直感的に分かっていたのである。そうして、ものの数十秒とかからないうちに、肉片の集まりは元の巨大な1つの肉体へと変身を遂げた。
アルファ「オメガは「無敵」なの。たとえ攻撃を受けて粉々に砕かれても、すぐに元通りになる…そうと分かったら無駄な抵抗は止めることね…!」
アルファの声には元通りの余裕があった。が、対するアルムたち6人に再び絶望の色が見えはしなかった。