Chapter 37-3
アルファ「…閉じたわ。この空間も、あなたたちの希望の扉も、ね」

アルファの声には妖しげな笑みが含まれていた。寸分おいて起こった事態を把握したアルムはすぐさま剣を構えた。

アルム「扉は閉じてなんかない。おまえを倒して、ここから出るんだ!」
アルファ「ずいぶん強く出るのね。でも…この空間を創り上げたのは私。その私をこの中で倒してしまえば、あなたたちは未来永劫この闇の中に閉じ込められることになるわよ…?」
アルム「―――っ!!」

斬りかかろうとしていたアルムの手が、ビクリと震える。ここから…出られなくなるというのか?

アルファ「もっとも、あなたたちに私が倒せたらの話だけれど。私が本当に警戒していたのはあの8人の方…あなたたちは、敵じゃない」

オメガはその瞬間、動いた。巨大な爪でアルムたちを切り裂こうとしてくる。

セリス「くっ…!デカさに不釣り合いなスピードしやがって…」
レイシア「はっ、やっ、せやぁっ!」

レイシアが気の入った声と共に鋭い拳を見舞う。がしかし、オメガはびくともしなかった。

アルファ「…それで攻撃しているつもりかしら?」
ルーナ「これならどうだ、マジックレーザー!!」

ルーナの両手から極太の光線が発射される。それはオメガを吹き飛ばすほどの威力を持つレーザーに見えた。だが、オメガは翼で光線を容易く受け止め、弾き飛ばしてしまった。翼には傷ひとつない。

ルーナ「ああっ…!?」
アルファ「もう終わりかしら…?」
タア「ざけんな!お前ら、奴をボコボコにすんぞ!!」

タアを筆頭に、全員でオメガに群がって攻撃を仕掛ける。斬りつけ、殴りつけ、炎を竜巻を氷を爆発を見舞う。しかしそのどれも、1つとしてオメガにダメージを与えるに至らない。最後にはオメガの鋭い咆哮に、皆吹き飛ばされてしまった。

アルファ「どれだけあがいても、このオメガに傷はつけられないわ…飛行能力、どんな攻撃にも耐えるほど硬く、魔力を限りなく無効化する外皮、自然治癒能力、敏捷性…どれをとっても死角はないわ。そうよ…長い間研究に研究を重ねたんだもの、死角があったら困るのよ…!」

狂ったように笑うアルファとは一転、窮地に立たされたことを悟るアルムたち12人。その表情には、焦りの色が見え始めていた。
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