Chapter 36-18
アルファ「本当はもっと時間が欲しかった…自らの意思で動き、破壊するものに仕立てたかった。だけど…この生物はただ私の意思でのみ動くロボット。私の意思以外のことも、咆哮ひとつあげることも、ひいては自ら動くことすらできない。それでも―――」
アルファは意を決したように、地を蹴って高く飛び上がった。そうして、オメガの背に飛び乗ると、そのまま眩い光を発して姿を消した。が、声ははっきりと聞こえていた。
アルファ「目的のためなら、私自身はどうなってもかまわない!」
声は、あろうことかオメガから聞こえたように思われた。
タア「消えやがった…どういうことだ?」
セリス「消えたんじゃない…多分アルファは、オメガと融合したんだ…!」
リズ「今、オメガはアルファそのもの…逆も同じ…!」
アルファ「その通りよ。だけど、これだけじゃないわ。念には念を入れて、最強のモンスター軍を用意しておいたわ…!」
アルファがピュッと短く口笛を吹くと、ものの数秒でそれは現れた。グレイトドラゴン、サタンジェネラル、ガーゴイル、ヘルバトラー…魔界でも指折り数えるほどの強敵の数々。それだけならまだしも、彼らは皆普通のモンスターではなかった。色が違うもの、大きさが違うもの、持つ武器が違うもの、普通と異なる様々な点が、各々のモンスターに現れていた。まさにオメガ・プロジェクトの研究の集大成が、ここに集まっていた。軍勢は、優に100を超えている。
アルム「…そんな」
ルージャ「こんなに…いっぱい…」
ここまで来て、12人の顔に陰りが見えた。10倍近い数を相手にできるような相手ではない。こちらにはもう勝算がない、誰もがそう思い始めた。しかし、相手は待ってはくれない。
アルファ「…行くわよ!」
アルファの声を合図に、魔物の軍勢が前方から一斉に襲いかかってきた。
アルム(もう…なるようになれっ…!!)
アルムが半ば自棄になって、ルビスの剣を高々と掲げようとした、まさにその時。
???「ちょっと待った!!」
突然空から聞こえてきた謎の声に、不思議とモンスターたちの動きも止まった。声の在処を探っていると、突然空間が捩れ、そこから次々と飛び降りてくる人影があった。
アルファ「…何者、と言いたいところだけれど…考えられる助っ人はあなたたちしかいないでしょうね」
アルファの呟きに、アルムたちはちらと後ろを見る。そこには、12人がよく知る8人の人影があった―――。
〜続く〜