Chapter 36-17
セリス「…また派手にやらかしたな…一体何が起こったってんだ?」
ユリス「何より、アルファを探さなきゃ…どこに逃げたのかしら」

つい先ほどまでその内部にいたのに、今や廃墟と化してしまった城を見つめ呆然としながら、彼らは異変の原因を探ろうとした。もっとも、アルファが姿を消したことと関係がないと考える方が不自然なので、自然アルファの行方を探すことで城の崩壊の原因にも近づけるという思考が一般になる。

が、それはいらぬ考えだった。アルファは、自ら姿を現したのだ。

アルファ「今までのは全て前座…本番はここからよ」
タア「本番?このだだっ広い殺風景な場所で、何が出てくるってんだよ」
アルファ「…城を崩したのは、その下に眠る完成品を掘り起こす必要があるからよ」
アンナ「完成品?一体何のことだい?」
アルファ「その答えは…じきに出るわ」

アルファはゆっくりと右手を掲げた。その手に光が集まっていったかと思えば、それを城の残骸に向けて放った。

ルージャ「…ぇええええっ!!?」
ルーナ「なに、この力…!?」

ルージャたちが驚愕するのも頷けた。放たれたレーザーは、いとも簡単にその残骸を塵と化し、霧散させたのだ。さらに、それだけではなかった。

ノイル「下から…何か出てくる…!」

ノイルにつられ、一斉に下を見る。そこには、巨大な何かがあった。

アリュード「あれは…モンスター!?」
リズ「あんな凶悪なモンスター、見たことがないわ…!」

その「巨大な何か」は、どうやら魔物のようだった。…いや、もう魔物と呼ぶのも正しくない。全てを虚空に消し去る、殺戮の兵器…。そんな表現が適切ではなかろうか。

アルファ「…これがオメガ。私たちがずっと研究していたモンスター強化計画…つまり、オメガ・プロジェクトの完成品よ」

気の遠くなるような説明を受けている間に、オメガと呼ばれた巨大モンスターは翼を広げて穴から脱し、その全貌を露わにした。

体長は少なく見ても街の2階建ての一軒家ほど、両の翼はドラゴンの何倍だろうか、しかし尻尾はなく、下半身は人の型に近いようだ。大きさは規格外であるが。

そのオメガはゆっくりと、しかし城が崩れた時に劣らないほど大きな地響きを残してアルファの後ろに着陸した。
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -