Chapter 36-7
城内ではまさに激戦と呼ぶに相応しい戦いが繰り広げられた。数多の魔物を相手に12人は決して退かず、果敢に攻撃を繰り出していた。

タア「…おらおら、邪魔だどけぇっ!!」
セリス「わりーけどそう簡単には捕まらないぜっと!」
レイシア「そのままずっと止まってなさい!」

タアの振るう剣が、一撃一撃確実に魔物たちを切り裂き、体力を奪う。セリスのスピードについていけず、一閃を受けてばたばたと倒れて寝息を立て始める。レイシアの繰り出す爪は彼らを痺れさせ、体の自由を奪う。彼らは猛毒、睡眠、麻痺といった効果を攻撃に付加していた。これにはアルムら一部の仲間も唖然とした。

アルム「…あの3人、いつからあんなことが…」
ユリス「…わたしだって!」

今度はユリスがその長槍で魔物の肩を掠めた。たったそれだけで、傷を受けたその魔物は仲間であろう別の魔物を攻撃し始めた。混乱しているようだ。

他の者たちも自分の得手を存分に発揮していた。ルーナやエド、ルージャたちが呪文や飛び道具で足止めをすれば、アンナやアリュード、リズたちはすかさず飛び込んで止めを刺す。12人という集団の中の連携は、この地の戦いのために培われてきたものなのかもしれない。

ルーナ「アルム、後ろ後ろ!」
アルム「………それっ!」

ルーナに背後の危機を告げられ、鋭い爪が襲いかかろうとしていることに気づいたアルムは、振り向きざまに剣を横に薙いだ。すると剣は恐るべき切れ味を見せた。斬った感触すらほとんどない。まるで1枚の紙を扉同士の僅かな隙間に差し込んだ、その程度の手応えだった。

アルム「すごいや…この剣…!」
レイシア「よーし、みんな、ここは終わったわ!」
タア「ぐずぐずすんな、次行くぞ!」

この階の魔物は殲滅したらしく、先頭切るレイシアやタアから声がかかった。上階も魔物の巣窟となっていることは容易に想像できる。

アルム「うん、分かった!」

剣を右手に握ったまま、アルムは前を追って駆け出した。
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