Chapter 2-14
遠くに見える、橙色の塊。近づいていくにつれて、それが巨大なイカであることが分かった。そして、さらに近づくと―――。

レイシア「あれは…タア!ユリス!…リズ!」
アルム「えぇっ!?」
ルーナ「本当に…!?」

レイシアほど目が良くない2人には、まだタアたちの姿は確認出来なかった。しかし、さらに距離を詰めると、アルムたちの目にも、教習所最強クラスの3人がクラーゴンの長い足に弾き飛ばされるのが見えた。

アルム「クラーゴンだ!大変だ、ぼくたちも行こう!」
レイシア「そうね、助けなくちゃ!」
ルーナ「うん、同じ仲間だもんね!」

先ほどまでの疲れはどこへやら、アルムたちはクラーゴンと戦いを繰り広げるタアたちの援護に向かった。


アルム「タアー!ユリスー!リズー!」
ユリス「…アルム?」
レイシア「私たちも一緒に「やめろ!!」

レイシアの言葉は、タアによって遮られた。

タア「オレたち3人で充分だ!てめぇらに増えられちゃ、勝てる戦いも勝てねぇ!」
アルム「えっ…!それって…」
ユリス「タアの言う通りよ、人数が増えすぎると逆に戦いにくくなるの!」
リズ「だから…先に行って!!」

普段無口なリズの強い口調に、アルムたちは従う他なかった。「頑張ってね…!」と言って、アルムたち3人はその場を離れた。遠ざかる時、足が誰かを叩くようなバシッという音が聞こえた。

レイシア「こうなったら、私たちに出来ることは1つしか無いわ。1秒でも早く、先生たちの場所まで行かなきゃ!」

レイシアの言葉に、2人は頷いた。いよいよ森に入り、木々の間を通っていく。しばらく進むと、少し開けた場所に出た。そこには、長机とテント3張り、そして椅子。彼らは、ようやくキャンプ地にたどり着いた。その物音に気付いたのか、森の奥の方からアーロンが戻ってきた。

アーロン「お疲れだったな。全員が揃うまで、自由にしてくれて構わないぞ」
アルム「あっ…先生!」
アーロン「どうした?」
アルム「クラーゴンに、タアとユリスとリズが襲われているんです!」
アーロン「…そうか、やはり襲われているか。レンバート、エフェルト、サライ。この実習の意味をよく考えてみろ。そうすれば答えは見つかる」

アーロンはそう言い残して、木立の向こうに消えていった。残された3人は、アーロンの意味深な言葉に残った時間を使うこととなった。
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