Chapter 34-7
セイファー「…レノン!!」

血だらけで倒れている天使、どうやらセイファーたちの知り合いのようらしい。向こうも2人を認めると、か細い声を上げた。

レノン「…セイ…ファー、それに…レイ…ズ…?」
レイズ「そうだよ!どうなってるの、これは!?」

レイズが教えてよ、とばかりにレノンに訊く。するとレノンは、今にも消え入りそうな声で言った。

レノン「…化け物だ…大きな…化け物が、街を…。ウィルもソローもターナも、みんなやられた。わたしと同じように」
セイファー「みんなは…まだ無事なの?」
レノン「大丈夫…死にはしないよ。ただ…少しの間、眠ることに…なるだけ…」

レノンはそこまで言うと、気を失ってしまう。セイファーとレイズは顔を見合わせ、レノンの肩を持ち上げて運んでいった。

アルム「…危ない、ベギラマ!」

突然アルムが叫ぶ。その声に、レノンを担ぐ2人は動けない。アルムはその前に立ちはだかり、炎を放った。その方向には、さほど大きくはないが、明らかにこちらを狙っていたと見える翼竜がいた。アルムの放った牽制の炎に、竜は一旦退避する。

セイファー「ありがとう、アルム…」
アルム「いいよ、それより早くその人を運んであげて!」
レイズ「…わかった。行こう」

2人は頷き合って、またレノンを担いで歩き出した。そうして街の中心にある、少し大きな建物に入っていった。

キース「とにかく、倒れてる天使をここに置きっ放しにしとくのは危険だ。手分けして、2人が入ってった建物まで運ぼう」

キースの提案に、首を横に振る者はいなかった。むしろ、皆そうしたかったのかもしれない。13人も一斉に街に散って、傷ついた天使を捜し始めた。

迷うことなく、天使は次々と見つかる。彼らを、アルムたちは懸命に運ぶ。入って気がついたが、この建物は天界の集会所のような場所らしい。意識がはっきりとしている天使から聞いた話だ。

それからしばらくの間、彼らは天使たちを建物に運び続けた。それを狙う翼竜たちの攻撃も潜り抜けながら。
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