Chapter 34-2
*「よくぞ戻った!…ふむ、だが思っていた結果ではなかったようだな」
神官は彼らの帰還に安堵の色を見せ、それから真顔に戻った。アルムたちにとっては、アルファたちを倒し、ロエンを連れ戻す手筈だったので、向こうにガンマしかいなかったというのは痛い誤算であったのだ。
そして、更に言えば、アルムたちにはアルファの居場所が分からない。これではどうすることもできない。何か目的が達成されようとしているのを、ただ指をくわえて見ることしか今の彼らにはできないのだ。
ガンマの言葉を聞いていたのはキースだけ―――しかし、そのキースが戻って来ない。ルーナ曰く「1時間で戻る」らしいが、アルムたちがキースを探しに行こうと旅の扉に近づいても、神官がその先に行くのを阻んだ。
*「あの者を信じるのだ。いかな偉業を成した者か、そなたらも知っておろう?」
神官はそう言って退かなかった。そうして、アルムたちはこの祠でしばらくの間待つことを余儀無くされた。
◇◇◇
アルム「………」
セリス「どうした?考え事か?」
アルムは窓の外の(今は山が穏やかなので、窓を開けることを認められていた)、そびえ立つ岩山の方をぼんやりと眺めていた。
アルム「…うん。ちょっとね」
セリス「ロエンを連れ戻せなかったのは残念だけど、何とかなるだろ。キースさんが最後にガンマと何か喋ってたみたいだし、手掛かりなら見つかるって。そしたら、後はアルファぶっ倒してロエン連れ戻して終了だ。…あ、ザルグってのもいたんだっけな」
アルムの横から窓の外に目をやりながら、セリスは指折り数えてそう言った。が、アルムは首を横に振った。
アルム「大事なこと忘れてるよ。ルプガナが今どうなってるか…」
セリス「…アルム、あの街なら大丈夫だって。全部終わった時、ちゃんと元に戻るさ」
アルム「だといいんだけど…」
その時、部屋のドアがガチャリと開いた。入ってきたのは、レイシア、ルーナ、ユリス、リズだ。
レイシア「あっ、アルムたちもいたわ」
ルーナ「ほんとだ、やった!」
2人が「何のことやら」な表情をしている間に、ルーナが2人の手を引っ張って、輪の中に引き入れた。
ルーナ「今から、トランプやりまーす!」
ユリスとリズは事前に知らされていたのか、平然としていた。またアルムたちも、普段からルーナと同じ部屋だったために、何度かトランプを経験しているので「分かった」と言えた。
アルム「それにしても…(レイシアとユリスとリズって、遊ばなさそうな3人なのに…)」
レイシア「?」
そんなアルムの思いを置いて、ルーナの「じゃー始めるよ!」の合図で遊びはスタートした。