Chapter 34-1
キースは動かなくなったガンマの体をもう一度見てから、すっくと立ち上がった。最後にもう目を開くことのないその顔に向かって、キースは誓った。
キース「たとえ俺が死んでも…必ず奴を止めてやる。安心しろ」
それから、踵を返してアルムたちの方に戻ってきた。アルムたちはこの間に、回復呪文などで少しでも傷を癒し、走れる程度には回復していた。
が、キースとガンマの会話は彼ら自身にしか聞こえていなかったので、そこで初めてガンマの死を知った者が大半だった。
アルム「どんなことを…お話されたんですか?」
キース「ああ…あいつから、アルファを止めるようお願いされたよ」
タア「はぁ?あれはアルファの仲間だろ?意味分かんねぇじゃねぇか」
確かにタアの反応は正しい。キースはまだ何も言っていないのだから。
キース「…とりあえず、ここじゃあれだ。一旦ネクロゴンドの祠に戻ろう」
キースの言葉に異を唱える者は、1人もいなかった。皆ぞろぞろと、地上への階段を辿っていく。ガンマの言った通り、あれだけの戦いを繰り広げても建物に被害はほとんどない。そのことに驚嘆しながら、彼らは階段を上がり、地上にある旅の扉に飛び込んでいった。
キース「あっ、そうだ。ルーナ!」
最後に飛び込もうとしていたルーナは、後ろからキースに呼び止められて振り向いた。
ルーナ「?」
キース「みんなに、俺は1時間してから戻るって伝えてくれないか?」
ルーナ「いいけど…そんなに傷だらけでどうするの?」
キース「傷のことは心配ない。みんなと合流するまでには治しとくさ」
ルーナ「…わかった。じゃあ、みんなに待ってるよう言っとくね!」
キース「ああ、悪いな」
ルーナは「別にいーよ♪」と言い残して、旅の扉に飛び込んだ。1人残ったキースは、それからしばらくの間目を閉じた。すると、全身に広がっていた彼の傷が、嘘のように塞がっていった。
キース「…我ながら便利な技だよなあ。さて、始めるか…」
キースはそう呟いて1つ大きく伸びをすると、再び先ほどの階段を駆け下りていった。