Chapter 33-19
炎は彼らを貪るように襲いかかった。轟々と響く炎の音は、熱に苦しむ者たちの悲鳴を全くかき消してしまう。
ガンマ「っくく…ジ・エンド…ってね…」
くすぶる炎の中、倒れ伏しているアルムたちを見下ろし、ガンマは会心の笑みを浮かべた。立っている者は自分以外にいない。
レイシア「…っ…ううっ…!」
リズ「くっ…かはっ…!」
セリス「ぐうっ…がっ…!」
苦痛に喘ぐ面々。その状況を見て、その声を聞いて、ガンマは確信した。
―――勝った。
いくら中級呪文を中心に撃ち込んだとはいえ、あれだけの呪文連撃だ。無事である者は1人もいないだろう。ちらりと一瞥して、ガンマは右手を上げた。
ガンマ「…最高まで手は抜かない…お前たちの灰も残らないくらいに焼き尽くしてやるよ…!」
右手に特大の炎が巻き起こる。さらに、その炎は渦を巻いている。メラゾーマとバギクロスを同時に放とうとしていた。―――止めを刺すつもりなのだ。
エド「くっ…そ…!」
ユリス「っ…いや…!」
ニヤリ、とガンマは口元を上げる。そして、そのまま右手を下ろした。
ガンマ「…消え去れ!!」
巨大な渦巻きが、倒れている皆を飲み込もうとする。これを受ければ、間違いなく命はない。
アルム「っ…!!」
ここで終わりだと思った、その時だった。
バァァァン!!
ガンマ「なっ…バカな!?」
ガンマは驚愕に目を見開いた。あと少しでアルムたちを焼き尽くすというところで、見えない壁に呪文が跳ね返されたのだ。ちょうどその時、一番手前に倒れているアルムのすぐ近くにいたレイズと、ガンマの目が合った。
レイズ「…へへ…どんなもんだい…」
ガンマ「…こいつ…!!」
レイズは機転を利かせ、アルムの前にマホターンを唱えたのだ。跳ね返された炎は、ガンマの方へと向かっていった。
ガンマ「…っ!!」
何かを言う前に、ガンマは炎の竜巻に飲み込まれた。
アルム「………!」
レイズ「やった…!」
ルーナ「勝った…の…?」
ガンマの姿が消えたことで、皆に元気が戻った。次々と、体を起こし立ち上がる。
キース「…無事か?」
ルージャ「当たり前だよ…!」
ノイル「キースさんが…守ってくれたんだから…!」
キースは特に手ひどい火傷を負っていた。とっさにルージャとノイルを庇っていたのだ。
キース「…まあ、無事なら良かったぜ…」
さすがにこたえた、という疲れた口調でキースは呟いた。しかし、戦いはまだ終わっていなかった。
ガンマ「…よくも出過ぎたマネをしやがって…!」
どこからともなく、ガンマの声が響いてきたのだ。