Chapter 33-15
ガンマ「覚えてるか?スカイハイタワーの各階を守っていたモンスターは、全部オレが誘い込んだ番兵だった。正直、あれを全部破られるとは思ってなかったよ…けどおかげで分かったこともあったけどね」
あの戦いは、皆がはっきりと憶えている。全員死力を尽くし、敵に挑んだ魔の塔。そしてその最上階で、キースがベータの命を奪ったのだった。忘れないはずはない。
ガンマ「そしてそれが、オレ1人でお前たち15人を相手にできる理由でもある。もう分かるだろう?」
ガンマはそう告げると、短く口笛を吹いた。するとどこからともなく、10を超えるモンスターの群れが現れた。
ガンマ「地下だけど気にせず戦おうか。お前たちの中に、この研究所跡の壁や床、天井なんかを破壊できる力を持った奴は多分1人しかいないからね…」
その言葉に、アルムはわずかに引っかかりを感じた。ぱっと聞いた感じ、こちらを見下す悪口に聞こえるが、何か違和感が。
アルム「…研究所「跡」だって?ここはもう、研究所じゃないの!?」
ガンマ「そうだ、見れば分かるだろう。パイプ1本1本の中には入ってたんだよ、何かがね」
それを聞いた瞬間、アルムの心で何かがざわついた。もし―――もし、この何本ものパイプに入っていたのが、凶悪な魔物たちだったとしたら―――。
それらが解き放たれた今、もはや時既に遅し、ということになる。
ガンマ「…どうやら分かったらしいな。お前たちのしてきたことが、全て無駄だったことに!」
アルム「そんな…!」
勝ち誇ったような表情でガンマに事実を突きつけられ、アルムは落胆した。もう、おしまいだ。ぼくたちには、もうどうすることもできないんだ…。
意識が朦朧としている中、鋭い声が響いてきた。それは、仲間たちの声だった。
セリス「アルム!ここまで来て諦める気かよ!」
エド「そんなの、アルムらしくないぞ!」
ユリス「わたしたちに出来ることは、まだたくさんあるわ!」
ルーナ「意味がないなんてことないよ、ゼッタイ!」
レイシア「私たちがまずすべきことは…目の前のモンスターを片付けて、ガンマを倒すことよ!」
タア「それが終わったら…アルファやらザルグやらをぶっ潰しゃいいんだろうが!」
アルム「…みんな…!」
アルムは仲間たちの声を聞いたこの時、心中で自分を責めた。どうしてぼくは、こんなに弱いんだろう。あの時、絶対に諦めないって誓ったんじゃないのか。
アルム「…ほんと、ダメだね…ぼくって」
キース(いい仲間を持ったな、アルム…)
一瞬キースと目が合った。アルムは鋭い目つきで頷き、自らの頬を一度強く叩いた。そして剣を抜き、胸の前で構えた。
ガンマ「愚かな奴らばっかりだ。まあいい、2人の勇者もまとめて、お前たちみーんな殺してやるよ!!」
ガンマもいよいよ、その力の全てを出し始めた。ガンマたちとアルムたち、10を超える軍勢同士が全く同時にぶつかった。