Chapter 2-11
その頃、北西の森では。
ゼクトル「っと!よし、これでいいな!」
メリー「あー…ディル、その長机はもう少しこっちね、あと椅子が1脚足りないわ」
ゼクトル「おいおい、この机どんぐらい重いと思ってんだよ…。ラルド、椅子頼む」
アーロン「ああ、分かった」
5の先生が分担して、森の中にキャンプを作っていた。13人の生徒たちの生活の場になるだけに、手は抜けない。
ふと、アーロンが腕で汗を拭い、「キット…誰か来たか?」と確認を入れた。双眼鏡で平原を見渡していたシェルトは、「いいえ、まだ来ていませんよ」と返した。が、その直後。
シェルト「なっ…何ですか、あの巨大なモンスターは!」
見張り役のシェルトの声で、すぐさま4人が集まる。双眼鏡を順に覗き込むと、確かに平原の隅に巨大なイカのようなモンスターがいた。
メリー「あっ、あれはクラーゴン!?」
セレイス「ええっ、クラーゴンってあの海の悪魔の!?」
ゼクトル「ていうか、なんで陸上にいんだよ!」
アーロン「恐らく…」
セレイス「恐らく?」
アーロン「それは気にしてはいけないことなのだろう。我々は何も見なかったということで、作業に戻ろう」
メリー「けれど…もしあのクラーゴンに生徒たちが襲われたら…!」
アーロン「心配ない、陸上では海の悪魔も子犬に等しい。それに、生徒たちも戦えない訳ではない。これも実習の一環と考えれば、なんとも都合の良い話だ」
アーロンはそう言って作業に戻った。他の先生たちもそれぞれの作業に戻る。実習がスタートして1時間、キャンプ地の森は慌ただしかった。
◇◇◇
先生たちが陸上のイカに戸惑っていた頃、ようやくセリスがエドたち3人に追いついた。
セリス「お前ら…とりあえず止まれ…てか三人とも足速ぇなぁ…」
エド「おれはスラリンとよく外でかけっことかしてたからな!」
ノイル「ぼくもルージャとよく遊んでたから!ね!」
ルージャ「うん!」