Chapter 33-9
ルーナ「4人の合体技、マジックレーザーデラックスー!なーんてね♪」
ユリス「ルーナ!それにエドたちも!」
キース「お前たち…無事だったのか…!」

やられたと思っていた4人の復活に、ユリスもキースも驚いていた。すると、ルーナの後ろからノイルが出てきた。

ノイル「ぼくがベホマラーをかけたんだ。みんな助かってよかったよ!」
ユリス「ベホマラー!?」

普段発することのないようなユリスの声。それも無理はない。ノイルが弱冠9歳で、高僧もそうそう持たない治癒の呪文を使いこなしたという事実を聞かされたのだから。

ところが、レーザーがザルグを直撃した時に、タアを蝕んでいた獄炎は消えたのだが、彼が受けた傷はひどく、その場にドサリと倒れ込んだ。ルーナとノイル、そしてルージャが慌ててタアに近寄ったため、キースは敢えて側に行こうとしなかった。いや、行けなかったのかも知れない。

キース「…来る」

キースの低い声で、残っているエドとユリスはそちらを向いた。ルーナたちの放ったレーザーで服が焼け焦げ、その身にも傷を負ったザルグが、平気そうな顔で立っていた。

ザルグ「私にここまで傷をつけたことは誉めてやろう…だが、それもこれまで。少々本気を出させてもらおう!」

先ほどの攻撃で柄から折れていた斧を投げ捨て、仁王立ちの姿勢になったザルグは両目をカッと見開いた。その途端、得体の知れない、しかし恐ろしげな黒い「気」がザルグの体から溢れ、防護壁のようにそれを覆った。

キース「くっ…!」
ユリス「っ…きゃああっ!!」

ザルグの近くにいた2人は、ザルグから吹き出す「気」の圧力を受けた。ユリスはそれに耐えきれず、やや後ろに吹き飛んだ。キースはというと、単に踏ん張っただけでなく、逆に相手に向かっていった。

キース「お前らの気なんてもんは、3年前にとっくに見飽きたぜ!」

キースは勢いをつけて剣を振るった。だが、ザルグを覆う黒い気に音もなく弾かれてしまった。

キース「…なんだと!」
ザルグ「はははははっ!!この気は闇の最高峰。かつての者どもの邪気など比ではないわ!」

笑い声を上げた後、ザルグはキースに目を向けた。

ザルグ「この気を纏いし私には、もはや一切の攻撃は通じぬ。もっとも、貴様だけが持ちうる伝説の剣では分からぬが…刀身の形から異なるそのなまくら刀では、傷はおろか私自身に切っ先を当てることすら叶わぬわ!」
キース「ごちゃごちゃとうるさい奴だな。百聞より一見、本当に通じないか試してやるぜ!」
ザルグ「無駄なことを…」
キース「本当にそうかな?」

キースは鋭い目と鋭い刃を、まっすぐザルグに向けた。
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