Chapter 33-8
4人は大爆発にもろに巻き込まれ、大きく後方に吹き飛ばされた。その中でも特に身が軽いルーナは、キースたちから全く見えない場所にまで飛ばされ、エドたちでさえ見えるか見えないかだったので、彼らの様子が全く分からなくなった。
キース「ちっ…厄介だな…」
飛び道具を操る4人が一斉に離脱したことに、キースは苦い表情を見せた。
ザルグ「貴様らも容赦はしない。この胸に受けた傷も、倍にして返してやろう!」
ザルグはどこからともなく超巨大な斧を出した。そしてそれを右手1つで軽々と持ち上げ、大きく振りかぶった。
ザルグ「凍え死ぬのも焼け死ぬのも嫌ならば…砕け散るがよいわ!!」
タア「バカかてめぇ、死ぬこと自体真っ平ごめんだっつってんだよ!」
悪態をつきながら、タアはその斧をかわした。高い位置から振り下ろされた斧はその柄の部分の近くまで地面に食い込んだ。動きが鈍いので回避は割と容易いが、もし捉えられたらひとたまりもないだろう。
それをザルグ自身見越していたのだろうか、既に手を打っていた。もう一度斧を振り下ろし、タアが右に避けると同時に、その方向に炎を吐き出したのだ。もちろんタアはその動きを止められない。
タア「ぐあああっ…!!」
苦痛の声を漏らすタア。しかし、必死に耐えていることは明らかだった。普通なら、気が狂うような絶叫をあげるほどの激痛と熱が全身を蝕んでいるのである。さらに質の悪いことに、あまりに熱い炎のため、キースとリズはタアを助け出すことはおろか近づくことすらままならないのだ。
ザルグはにやりと怪しい笑みを浮かべると、その斧を今まで以上に高く振りかぶった。
ザルグ「砕けろ。私に楯突いたことを、虚無の世界でただ悔やみ続けるがいい!!」
ブヮン、と風が起こるほどの力で炎の中のタアに向かって振り下ろされる斧。
ユリス「いや…やめてぇぇぇっ!!」
ユリスが思わず叫んだその時だった。
ザルグ「…ぐわぁぁっ!!」
叫びを上げたザルグ。その巨体が斧もろとも、優に数メートル吹っ飛んだ。その正体は、白く太い光線であった。
キース「…何だ?」
その光の正体が分からないキースは、光線の飛んできた方向に目を向けた。するとそこには、今しがた何かを撃った、というような格好のルーナが立っていた。