Chapter 2-9
やがて視界にはっきりとエドたちの姿が映ってきた。それと同時に、モンスターの大きさや形、色などもはっきり見えてきた。茶色の毛に覆われた、巨大な猿型のモンスターだ。
レイシア「あれはマンドリルね…大変だわ、あの3人じゃ太刀打ち出来ない!」
セリス「つーかあいつら、泣いてんじゃねーか!おいおい、大丈夫かよ!」
アルム「…急ごう!」
そう言って、アルムがスピードを上げた時だった。突然、エドたちを襲っていたマンドリルが、真っ二つに切り裂かれ、地面に倒れ伏した。その背後には、大剣を振り下ろした格好のタアがいた。ただ一つ、本人の表情が一瞬唖然としたが、それはすぐにいつもの表情に戻った。
タア「お前ら、泣いてる暇があんなら持ってるその杖でも振り回して攻撃しろ!」
ルージャ「うぇっく…だって…ボク杖使えないもん…持たされてるだけだもん…」
タア(…話にならねぇな)
タアは呆れた様子でため息をつくと、再び森に向かって走っていった。
セリス「あいつ…一緒に行ってやるとかいう気持ちはねーのかよ!」
レイシア「いや…タアは私たちを見たから、もう大丈夫だと判断して行ったんだわ。それより、セリス!タアを「あいつ」なんて!」
セリス「うるせーな、タメ年をあいつ呼ばわりして何が悪いっつーんだ、何が!」
レイシア「えっ!?ああ、そうだったわ。いつも平気で殴ってたから、私と同い年の感覚になってたわ…」
この時、ロエンの自信が少しだけ揺らいだ。
ロエン(僕は…年上の人を殴るなんて出来ないよ…すごいな、レイシア…って、違う違う!)
1人で顔をしかめたり首を振ったりするロエンを、ルーナが心配そうに見つめる。
ルーナ「ロエン?どうしたの、さっきから何か変だよ?」
ロエン「あっ、いや、何でもないよ!ちょっと考え事してただけだよ」
そんな話をしながら、6人は座り込んで泣いている3人の元にたどり着いた。