Chapter 31-11
ロエン「僕はルプガナの港から船に乗った。その時に、誘えるだけ人を誘った。さっさと乗ったタアは別にして、同じ部屋だったアンナとアリュードに、あの3人組をね」
アルム「…ロエン、まさかきみは船が沈むことが分かってたのかい…?」
ロエン「そうだよ。船を沈めたのはザルグだよ。アルファが沈めるように言ったんだ」
アルム「なんだって…!?」
アラン「…ザルグ…?」

その言葉には、少なからずアランたちも反応した。が、それ以上の注意をガンマたちが許さない。

ガンマ「おいおい、そっちこそ余所見するなよ!」
アラン「くっ…」

アルム「ロエン…!きみは、ザルグに味方するやつらに味方してることが分からないの!?」
ロエン「味方なんかじゃない。僕たちはザルグを利用してるだけだよ…もちろん、ザルグの下にいるディルもね…」
アルム「…なんてことを…!」
ロエン「…もう1つ、最後に教えてあげるよ。ここまで言ってもまだ、僕が妹の無事のために仕方なくアルファたちに味方してるって思ってるみたいだからね…!」

ロエンは恐ろしく冷たい声で、アルムに言い放った。

ロエン「僕には…人質にとられてる妹なんていない」
アルム「そんな…!!」
ロエン「僕には腹違いの姉が1人いるだけで、妹なんて1人もいないんだよ…!」
アルム「ずっと…ぼくたちを騙してたんだね…!」
ロエン「そうだよ…!どうだ、ずっと自分を騙し続けていた奴を、まだ連れ戻すなんて言うのか?」

アルムはただ俯いた。こんな、こんなことって…。ロエンはもう、手の届かない場所に行ってしまった…いや、最初から手の届く場所にいなかったと言うのか。

アルムは考えた。考えに考えた。それでも、答えは出なかった。

アルム「…どうして?」
ロエン「何が?」
アルム「どうしてアルファたちに味方するの…?きみはぼくが本当のことを知らないからだって言ったけど、まだ分からないよ…!」
ロエン「…まだ分からないなら…分からないまま死んじゃえばいい」

ロエンは冷たく吐き捨てると、突然アルムの腹を突き上げた。

アルム「ぅぐっ!?…がはっ…!!」

アルムは後ろの壁まで飛ばされ、背中を強く打ちつけた。

ロエン「まさか、もう終わりなんて言わせないからな…!」
アルム「ぐっ…!」

アルムは立ち上がると、ロエンを真っ直ぐ見返した。もはや戦いは避けられない。やらなければ…やられる。

アルム「…っ…!」

こみ上げる涙をこらえて、アルムはついに剣を抜いた。
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「見えない臓器の名前は」
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