Chapter 31-7
タアたちが巨大な機械兵を前にしたさらにその1つ上のフロア。ここには、2匹の敵が待ち構えていた。
アラン「…ずいぶんと懐かしい顔だな、ファッグ、それにトゥーダ」
ファッグ「…貴様に言っておこう。命乞いをするなら今のうちだ」
ファッグは自信に満ちた表情でそう言った。しかし、アランは肩をすくめてこう返した。
アラン「…悪いが、今度ばかりは逃がさねーぞ。お前らが命乞いをしても、俺は認めない」
トゥーダ「ケケ、何を寝言ほざいてんだ?お前が言うことを聞かなかったら、こうだぞ?」
トゥーダが羽を一振りすると、突如として竜巻が現れ、セイファーとレイズが中に閉じ込められてしまった。
アラン「………!」
トゥーダ「さあ、どうする!?ほっとくとあの2人はズタズタになるぜ…?」
ファッグ「我らに忠誠を誓うのなら、2人の命は救ってやってもいいぞ?」
黙って2人の言葉を聞いたアランは、しばらくして一言発した。
アラン「断る」
トゥーダ「…何だって?お前、そいつらがどうなってもいいのか?」
アランは真剣な目つきで、2人を見据えて言い放った。
アラン「俺たちは、もとよりその覚悟をしてここまで来た。生憎だが俺もこの2人も、その程度の挑発に乗る安っぽい頭は持ち合わせていない」
ファッグ「…貴様、少し黙って聞いていれば…!」
アラン「…それに、抵抗もせずに無駄死にするほど、バカでもないしな」
トゥーダ「…何?」
アランが後ろをちらっと振り返った瞬間、セイファーとレイズはいとも簡単に竜巻から抜け出した。
トゥーダ「なっ…なんだと…!?」
セイファー「ボクたちにだって、羽はあるんだ…」
レイズ「こんなところで死ぬわけにはいかないしね…」
ファッグ「む…まあその程度でなければ俺たちも退屈するところだったがな。俺はさっきの言葉を撤回する気は無いぞ、まだ今なら間に合うことにしてやるが?」
アラン「それはこっちも同じだ。何度言われても、俺たちは「NO」を貫く」
トゥーダ「ケケ…ならここで死んでもらうしかないなぁ!!」
トゥーダはそう声を張ると、凄まじい風を巻き起こした。気を抜けば吹き飛ばされそうな猛烈な風。アランは体勢を低くして飛ばされないようにする。だが、頭上からファッグがアランを押しつぶそうと飛びかかってきた。
ファッグ「死ねぇっ!!」
ファッグの巨体が圧し掛かれば、まずひとたまりもない。しかし、アランはある瞬間にかっと目を見開くと、凄まじい速さで剣を一閃した。
ズパァッ!
ファッグ「ぐぉっ!?」
トゥーダ「ぐぇっ!」
その音は、アランの剣がファッグの、そしてその向こうにいたトゥーダの体に鋭い切り傷を刻みこんだ音だった。この時、トゥーダが起こしていた風も止んだ。
ファッグ「貴様…もう許さんぞ!」
ファッグは全力で拳をアランに突き出してきた。ラダトームの時と同じように、アランはそれを右腕一本で受け止める。しかし、ラダトームの時と違っていたことがあった。