Chapter 31-3
リズたちが戦っていたその1つ上のフロアでは、4人が巨大な悪魔と対峙している。レイシア、ユリス、アリュード、そしてルーナ。彼らが立ち向かうのは、アラン曰く、大昔に封印されたという金色の悪魔、ベリアルだ。その体躯は3メートルを優に超える。

レイシア「大きいわね…」
ユリス「でも、負けるわけにはいかないわ…!」
アリュード「上でも下でもきっと戦ってるだろうしね…!」

武器を構え、警戒を強める彼ら。と、ベリアルが動き出す。その三又状の長い槍で、4人を薙ぎ払おうとしてきた。もちろん、4人は皆さっと後ろに飛んでそれをかわす。

ルーナ「あたしたちは絶対勝つんだもんね!」

ルーナは1つ牽制の形でメラミを放つ。ベリアルは自らの前で槍を高速に回転させ、その火球を四散させた。

その隙に横から飛び込むアリュードとユリス。流れるような隼斬りと五月雨突きを見事に当てきって、さっと後ろに下がる。ベリアルがわずかに呻き、攻撃を当てた箇所は魔物の独特な色をした、毒々しい血が流れ出していた。

しかしベリアルも黙ってやられるわけがない。ユリスに槍の焦点をぴたりと合わせた。

ユリス「みんな、散らばって!」

自分が狙われていると分かったユリスは、周りにそう促す。3人は指示通りにユリスから離れ、反撃の隙を窺う。

ユリス(ギリギリまで引きつけられれば…みんながどうにかしてくれるはず…)

ユリスは槍を構え、集中する。刹那、ベリアルはその巨大な槍を突き出す。それはユリスの予想を遥かに上回る速さだった。

シュン!!

高速の大槍は、わずかに避け損ねたユリスの左腕を捉えた。皮膚が切り裂かれ、夥しい量の血が辺りに飛び散る。

ユリス「あああっ…!」

思わず槍を取り落とし、左腕を押さえてうずくまるユリス。

ルーナ「ユリス!」
レイシア「しっかり…!」

ルーナとレイシアが、ユリスの方に駆け寄ってきた時だった。

ユリス「…2人とも、伏せてーー!!」

ユリスは必死の表情でそう叫んだ。2人が何…と思う間もなく、ベリアルの右手から閃光が弾けた。

*「…イオナズン!」

ルーナ「………!」
レイシア「………!」

ユリス「ああっ…いやぁーーっ!!!」

ユリスの叫び声が辺りに響くことはなかった。2人は凄まじい爆発に飲み込まれ、その轟音はユリスの声をいとも簡単にかき消した。
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