Chapter 31-1
魔の台地、ロンダルキアにそびえる天に伸びる塔、スカイハイタワー。
一見物々しく荘厳に見えるこの巨塔の中で、激しい戦いが繰り広げられていることを誰が知ろうか。
セリス「…アルムたちには勢いでああ言ったけど、実際勝てる気がしねーなこりゃ…!」
塔の下層、ここにセリスはいる。リズ、アンナと共に立ち向かうは、ドラゴン族最強の番人、ダースドラゴン。
アンナ「それでもあたいらは勝たなきゃならないんだ…こんなところでもたついてられないよ!」
セリス「くっ…とにかくかき回さなきゃ話にならねー!1回散るぞ!」
セリスの声で、3人がばらばらの方向に走る。すると狙い通り、ダースドラゴンは標的が分散して半ば混乱したようだ。…そう、ここまでは狙い通りだった。この後、ドラゴンは予想外の行動に出た。なんと、無差別にその灼熱の炎を吐いて回り出したのである。ひとたび炎を浴びれば大火傷は免れない。
セリス「おわっ!こいつ、見境なくなりやがった!」
リズ「早く、なんとかしなきゃ…きゃあっ!」
間一髪で炎を避けながら、リズは叫ぶ。
セリス「くそっ…こんな所で負けるわけにはいかねーんだよ!」
セリスは一瞬の隙を見計らい、徐々にダースドラゴンに接近していった。
アンナ「…ちょっとセリス、何しようってんだい!近すぎたら炎を避けられないよ!?」
セリス「心配すんな、反射神経には自信ありだ!」
看板に偽りなし、確かにセリスは至近距離から不意に吐かれる炎を見切り、さっと身をかわしている。そうして距離が開くが、また動きながら少しずつ近づいていく。しかし、これではいたちごっこである。そればかりか、セリスの体力がなくなってしまう。
セリス「………(…今だっ!)」
セリスは覚悟を決め、さっと動いた。それは、ルプガナが死の街と化す以前に、キットから手取り足取り教わった技だ。ドラゴン相手なので防御は堅固だが、あまりの早業に並のモンスターは一瞬で息絶えるという、究極のスピード技。
セリス「行くぜ、アサシンショット!!」
セリスは目にも止まらぬ俊敏な動きで、ドラゴンを前後から一撃ずつ斬りつけた。それによって、ドラゴンは叫びを上げ、確かにダメージも与えたようだった。