Chapter 2-6
アーロン「いいか、道具の中には敵への攻撃に有効な物も数多くある。爆弾石、マグマの杖などがその例だ。他にも、例えば星の欠片は敵を混乱させる効果があるように、敵の動きを止める道具も存在する。そういう意味では、道具を有効に使うことも一種の戦術と言える。分かったか?」
一同「はい!」
アーロン「よし。では次に実技訓練に…レジェンド、遅刻だ。今回は事情があったようだが、次回は遅れるな」
アーロンは訓練を中断し、遅れてきたタアを窘めた。タアは無言のまま、訓練に合流した。
アーロン「それでは、3人で組になって、自分側が2人、敵側が1人の時のシミュレーションを行う。敵の後ろに回り込み、背中を叩けば成功とする」
この後、いつも通り訓練が続いたが、アリュードが姿を見せる事はなかった。
◇◇◇
アーロン「よし、以上で訓練を終了する。少し時間があるが、休んでいて構わない」
アーロンはそう言うと、ユリスに近づき何かを話した。数秒後、ユリスがこくりと頷き、2人は屋敷に戻って行った。
セリス「はぁー、今日の訓練はハードだったなぁ…あの2人、ひょっとしてできてんじゃないか?」
ゴツン、と、快音が響いた。何の音かは、レイシアが拳を握っているところから想像がつく。
レイシア「あんたね、バカ言うのもほどほどにしなさいよ」
セリス「ってぇ…でもよ、ここんとこずっとだぜ?あの先生、ユリスをどこに連れてってんだ?」
レイシア「分からないけど、少なくともあなたが言ってることは無いわ。だとすれば、あれだけあからさまに誘う訳がないもの…はぁ、それにしても疲れたわね…」
レイシアが仰向けに寝転がったその時、彼女はついに見た。
レイシア「アリュード!!」
居場所が分からなかったアリュードを、ついに見つけた。屋敷の最上階のバルコニーから、アリュードは庭を見下ろしていたのだ。レイシアはとっさに起き上がり、つい今し方までアリュードがいたバルコニーを見るが、既に彼の姿は無かった。
アルム「あんな所で…アリュードは一体何を?」
セリス「わからねーけど…何かありそうだな…」
アリュードの謎多き行動に、アルムたちは振り回されるばかりだった。