Chapter 28-13
セイファー「あの、これからはずっとここにいてもいいですか?ボクたち、天界から出てきたんです」
この話し始めに、誰もが驚いた。もちろん、ラルドやキットも。
ラルド「どうした、藪から棒に…もちろん断る理由は全く無いが」
キット「ええ…とりあえず、何があったのか話して下さいませんか?」
キットに促されて、セイファーとレイズは代わる代わるに口を開いた。
セイファー「天界王さまの考えには、ついていけないんです。ついこの間、天上軍がラダトームを占拠したって聞いて…どういうつもりか直接聞きに行ったんです」
レイズ「そしたら、天界王さまは地上を手に入れるって…。それは絶対間違ってると思うんだ。だから、みんなに伝えに来たんだ」
セイファー「ボクたちも、天界王さまと戦います!これ以上、地上の人たちが苦しめられるのを、見ていられないから…!」
レイズ「僕もだよ!僕を騙したやつらもやっつけたいし、僕を救ってくれたアルムたちにも恩を返したいんだ!」
2人の目には、もう一切の迷いがなかった。自らの主と袂を分かち、敵対することを決めた2人。キットたちはその勇気を賞賛した。
キット「…あなたたち2人は素晴らしいですよ。よく決断してくれましたね」
ラルド「ああ、共に戦おう。地上と天界の両方を救うために…!」
それは、セイファーたちを真の仲間として受け入れることを表した言葉だった。それを聞いて、2人の表情が綻んだ。そして、それを見てアルムたちもまた、微笑みを浮かべるのだった。
◇◇◇
その頃王城の地下牢では、クラリスたちが王から話を聞いていた。王の衰弱は激しく、あまり多くを語ってはくれなかったが、クラリスとレイシアはそこで天界王との戦いを確信させる事実を知った。
クラリス「エルガ…いや、ベータがラダトームでの一連の騒ぎの黒幕だったってわけね…」
レイシア「軍を解散したのも、天上軍を手引きしたのもベータなんですね…!」
クラリス「つまり…天上軍を束ねる天界王と、ベータを含む3人は…繋がっているってことだわ…!」
クラリスははっきりと、そう言い切った。深い霧に包まれていた敵の正体が、徐々に姿を現し始めていた。
〜続く〜