Chapter 28-7
*「反逆者だ!早急に通達せよ!」
ラルドと会話を交わしていた武装兵が、少し離れた場所にいる同じ格好の武装兵にそう指示した。その兵は振り向くなり、王城の方へ全速力で走っていく。
そして、8人は近くにいた武装兵20人近くに取り囲まれた。こちらの想像以上の対処に、ラルドは「ほう」とわずかに感心したような声を漏らした。
*「…覚悟はいいな?」
じりじりと近寄ってくる武装兵たち。しかしその時、1人が動いた。―――タアである。
タア「てめぇらがな!!」
その声と共に、8人全員が動いた。倍以上の数を相手にするのはたとえ勝てても時間がかかる。それをとっさに判断したラルドが、こんなことを言った。
ラルド「アルム、レイシア、タア!!お前たちはクラリスと一緒に、城に向かえ!ここは私たちが引き受けた!」
アルム「なっ…」
何を言うんだ、とアルムは思った。自分たち4人が抜ければ、敵の数は一気に5倍を超えてくる。この兵たちも伊達に鎧を纏い、ラダトームを監視しているわけではないだろうに。そう思っていたところに、タアの言葉が更に追い討ちをかける。
タア「…本当に任せていいんだな!?」
アルム「ちょっ…ちょっとタア!きみまで何言って…」
タア「黙れバカ!オレらの目的忘れてんじゃねぇぞ!!」
アルム「っ…!!」
アルムは腹を決めた。もう当たって砕けてやる、そんな思いでクラリスの合図を待った。
だが、忘れてはいけない。今でさえ、アルムも3人の武装兵を相手取っているのだ。攻撃もままならず、防戦一方のアルム。
アルム「うわっ…くっ…(やっぱり…強い!!)」
アルムが武装兵たちに苦戦していたほんの一瞬、彼は視界にタアを捉えた。驚くことに、3人の武装兵を押し込んでいる。さらに、レイシアも回避と攻撃のヒットアンドアウェイを繰り返していた。
やはり、4ヶ月の差は1週間では埋まらないのだ、アルムはそれを痛感した。そして半ば強引に兵たちを突き放し、距離を取ったその時、クラリスの声が響いた。
クラリス「行くわよっ!」
それを聞いて、レイシアとタアはするりと武装兵たちの間をかいくぐり、混戦の中を抜け出す。一方で、アルムはどうにか相手を押しのける感じで、傷を負いながらも抜け出すことに成功し、3人に合流した。
ラルド(よし、後は任せた!!)
敵越しに、クラリスとラルドの目が合う。クラリスは力強く頷き、その後3人にこう告げた。
クラリス「行きましょう。必ず…ここに戻るのよ!」
全速力で走り出すクラリスに、3人も従う。そうして、黒幕の1人が待ち構えているであろうラダトーム城へ、4人は走っていった。