Chapter 28-6
城下町に入ったところで、既に辺りは物々しい雰囲気に包まれていた。というのも、街のいたるところを鎧に身を包んだ武装兵が歩いており、一方で街の人々の姿は全く見当たらないからだ。

光景こそ違えど、この状況はあの時と似ている…ラルドはそう苦々しく呟いた。空が暗雲に包まれておらず、春と言うには暑く、夏と言うには涼しい陽気が街に降り注いでいる。その分を差し引けば、まだマシだろうか…そんなことを考える。

と、彼らの元へ2人の武装兵が近づいてきた。8人に緊張が走る。すると、武装兵はとんでもないことを口にした。

*「お前たちが装備している武具を全て外し、宿屋横の管理所へ預けに行け」

この要求は、ラルドたちにとって到底受け入れられるものではなかった。これは一気に戦いになるか…アルムはそう感じ、緊張が高まった。

しかしラルドは冷静に、武装兵にこう質問した。

ラルド「…なぜ預ける必要がある?」
*「わが国では些細な反乱も許さない。全ては王の命によるものだ」

わが国、という言葉に、クラリスは眉をひそめる。一方で、王というのが天界王を指していることに、アルムは気がついた。

ラルド「それでは、万一街中や店で襲撃された場合、どう対処せよと?」
*「それについては問題はない。武具店の営業は停止しており、他店においては店主を含み武具類の持ち込みを禁じている。我々が判断するに、襲撃されるより反乱を起こす可能性の方が高い」

一見合理的な説明だが、そんなことはない。辺りに武装兵がうようよしている状態で丸腰になれというのは、ある種の拷問に近い。そうでなくとも、街の入り口からこの体制では城は閉鎖されているに違いない。とすれば、情報が届くのも時間がかかる…ラルドはそう踏んだ。

ラルド「悪いが、その要求は断る。自分の身は自分で守りたいものでね」
*「例外は認めない。この義務を怠るならば、街から去ることだ」
クラリス「そうはいかないわ。大事な用があるんだから」

埒があかない。武装兵が業を煮やし、8人を反逆者と判断して剣に手をかけた時だった。

ラルド「…行くぞ!」

ラルドの凛とした声が響くと同時に、8人は素早く武器を構えて展開した。
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